研究課題/領域番号 |
16K10902
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
星野 祐一 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (40718384)
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研究分担者 |
松下 雄彦 神戸大学, 医学系研究科 整形外科学, 特命講師 (40467650)
黒田 良祐 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80379362)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膝前十字靭帯損傷 / 半月板損傷 / 前外側関節包靭帯損傷 / 回旋不安定性 |
研究実績の概要 |
今研究は膝前十字靭帯損傷膝における前外側関節包靭帯、半月板などのSecondary restraintの合併損傷を画像的に評価し、膝不安定性の客観的評価値との関連を調査するものである。 平成29年度には、前年度に引き続き片側性の膝前十字靭帯損傷患者、計140膝の前十字靭帯損傷膝を対象に、MRIおよび術中所見から前外側関節包靭帯および半月板損傷の有無を調査し、それら合併損傷の有無が回旋不安定性に対する影響を調査した。一方、前十字靭帯再建術を行った術後1年での回旋不安定性の計測を46膝に対して行い、Secondary restraintの合併による術後の回旋不安定性の影響を調査した。 結果、前十字靭帯損傷膝における前外側関節包靭帯損傷の回旋不安定性への影響は対象症例数の増加に関わらず認められず、一方、半月板損傷、特に外側半月板損傷の合併が回旋不安定性に及ぼす影響はやはり有意差をもって確認された。また、前十字靭帯再建術後に及ぼす影響の調査において、術後1年の経過で内外側半月板合併損傷膝では半月板損傷のない膝に対して回旋不安定性が大きかった。また半月板を修復術で治療した症例は半月板合併損傷の無い膝に比べて回旋不安定性は同等である一方、部分切除術症例においては半月板合併損傷のない膝に対して有意に大きな回旋不安定性を残していた。したがって、前十字靭帯損傷に伴う半月板の合併損傷は修復を行わなければ術後に回旋不安定性を残存させる要因になると考えられた。 以上の術前の調査結果は、2017年4月~2018年3月の期間において6学会(含4国際学会)で発表した。中でもISAKOS congress 2017ではJan I. Gillquist Scientific Research Awardを受賞した。現在論文投稿中である。また、術後の影響についての調査は4学会(含2国際学会)で発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の症例をふくめて術前の状態での調査を140膝以上を対象に行うことができた。また、術後1年のFollow-upについても50膝に近い症例を調査することができ、統計学的に有意な差を検出できる程度の症例数に至っている。術前調査の結果においては症例数も十分と考えられ、結果をまとめて現在論文投稿中であり、術後のFollow-up症例に関しては引き続き症例数を増やしていく予定である。3年目である今年度以内には当初の予定を上回る60誓い症例の症例数が集まることが期待でき、最終年度に向けて十分なデータの蓄積ができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
3年の期間中の2年目において、当初の予定症例数に至る症例が収集できているが、今後、さまざまな理由でFollow-upをLostする可能性も見込まれるので、引き続き症例の経過観察は続けていく予定である。また、蓄積された術前、術後のデータを用いて、Secondary restraintの合併損傷を手術的に治療した膝において回旋不安定性の変化を調査する統計学的解析もまとめていく予定である。おおむね順調に進展しているため、今後も引き続きデータ収集・解析を進めながら、発表だけではなく論文の作成及び投稿も行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由》計測機器に関わる消耗品が見積もりよりも少なく済んだことが原因と考えられる、また、データ収集と解析に使用すべき人件費や謝金が経費削減自助努力により計画ほどかからなかった。 使用計画》次年度は機器の消耗がさらに続くため、消耗品の補充の必要性は昨年度よりも高まる事が見込まれる。またFollow-upのデータ収集数が多くなり、データ収集と解析に必要な人件費や謝金が以前よりかかることが予想される。
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