研究実績の概要 |
まず変形性股関節症患者に対して臨床所見、患者立脚型評価、医師立脚型評価とともに画像評価を行った。画像評価では、単純X線評価とともに64列CTを用いて筋肉体積量、筋肉脂肪変性の程度を計測した。CTデータの3次元構築による筋肉体積量は臨床評価で筋力と良い相関を認めており、脂肪変性の程度も筋力と良好な相関を認めた。脂肪変性の程度の評価ではファントムを使用した計測法でより強い相関を認めたため、筋肉脂肪変性の評価ではファントムを使用した方が良いことが分かった。これらの結果に関しては英語論文に投稿して受理された(Momose T, Inaba Y (corresponding author), Choe H, Kobayashi N, Tezuka T, Saito T: CT-based analysis of muscle volume and degeneration of gluteus medius in patients with unilateral hip osteoarthritis. BMC Musculoskelet Disord. 2017 Nov 15; 18(1):457. doi: 10.1186/s12891-017-1828-2.) 次にVICON MXを用いた歩行解析データをAnybody Modeling Systemにより作成した骨格・筋肉モデルに反映させて歩行中の筋肉活動評価を行った。モーションキャプチャとフォースプレートから患者特有の歩行動作と床反力を取得し、患者の下肢CT画像から作成したモデルに適応して歩行中の股関節周囲筋活動を解析した。患者の筋断面積を反映させたモデルでは、股関節周囲筋の作用不全に伴い、各筋が筋力を代償することで姿勢の変化を維持する結果が得られた(澤弘樹, 田原大輔, 百瀬たか子, 大庭真俊, 稲葉裕:変形性股関節症患者の筋断面積と歩行動作を反映した個体別筋骨格シミュレーション,日本機械学会2016年度年次大会, J0220106).
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