研究課題
関節リウマチ治療は劇的に進歩し、発症早期からの抗リウマチ薬、生物学的製剤、低分子シグナル伝達阻害剤の導入により、治療は寛解をめざすものになった。 しかしながら未だいずれの治療にも反応しない薬剤耐性難治性患者や、炎症が鎮静化されたにも関わらず骨びらんの進行がみられる患者が存在する。我々は、関 節リウマチの病態形成にグリオスタチン(GLS)が密接に関与していることを初めて見いだした。本研究ではグリオスタチンのシグナルカスケード制御を関節リウ マチ治療へ応用することを最終目標としている。GLSは、thymidine phosphorylase (TP) 酵素活性を有するが、この酵素活性のみからGLSのもつ多彩な生物学 的作用を説明することはできない。多彩な生物学的 作用とは血管新生作用、グリア細胞に対しては増殖阻害作用、 皮質ニューロンに 対しては神経突起伸長および生存維持活性である。最近他施設より滑膜細胞か らのTPによってCXCL10が誘導され、TPの骨破壊への関与 も示唆される報告がなされた。 滑膜培養細胞では、TNFなどの炎症性サイトカインによってGLSが誘導さ れる。GLSのプロモーター領域にはSp1 結合部位が7か所あり、このSp1結合部位を阻害することで、TNFによるGLSの発現を制御することが可能となり、GLS発現制 御の一端を解明できた。RA患者の関節液中GLS濃度は、おおよそ300 ng/mlであるが、この濃度のGLSを滑膜細胞に作用させることによりmatrix metalloproteinases (MMP)-1、3、9、13を誘導することから、GLSは関節破壊に関与する因子の一つと考えられる。 そこで本研究では関節リウマチの滑膜炎増悪 の一翼を担っているGLS発現制御分子機構の解明を目標とし、その候補としてJAK/STAT系に着目した。
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
BMC Musculoskelet Disord
巻: 19 ページ: 268
10.1186/s12891-018-2176-6
J Orthop Surg Res
巻: 13 ページ: 168
10.1186/s13018-018-0869-z
Clin Exp Rheumatol
巻: 36 ページ: 559-567
Mod Rheumatol
巻: 28 ページ: 495-505
10.1080/14397595.2017.1350332
Nagoya Med J
巻: 56 ページ: 39-52