研究課題/領域番号 |
16K10918
|
研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高尾 昌人 帝京大学, 医学部, 教授 (30263536)
|
研究分担者 |
河野 博隆 帝京大学, 医学部, 教授 (20345218)
三木 慎也 帝京大学, 医学部, 助手 (70647982)
宮本 亘 帝京大学, 医学部, 講師 (30437553)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 関節軟骨 / 再生医療 / 間葉系幹細胞 / ヒアルロン酸 |
研究実績の概要 |
高濃度のヒアルロン酸(HA)に間葉系幹細胞(MSC)を混入すると、MSCの遊走が阻害される可能性がある。しかし、HA濃度とMSCの遊走との関係について具体的に調査した報告は過去にない。そこで本実験では、細胞遊走能測定キットを用いて、異なるHA濃度における細胞の遊走能を測定し、HA濃度が高くなるとMSCの遊走能が阻害されるかどうか明らかにするための実験を行なった。 培地にHA溶液(濃度 0%(リンゲル液のみ)・0.01%・0.1%・0.5%)を混入し、シャーレにそれぞれ満たした。サンプル数はそれぞれ5例とした。細胞遊走能測定キット(Wound Healing アッセイ:細胞の運動能評価)をシャーレ内に設置し、5.0 X10⁶cells/mLの滑膜由来間葉系幹細胞(SMSC)を含んだ細胞混入液を、70μL/wellでキット内に播種した。一定時間後にキットを除去し、細胞の遊走を経時的に記録した。 その結果、設定したHA濃度の範囲では、細胞の遊走能に差は見られなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
過去の実験では、HA濃度0.01%+SMSC5×10⁶個を用いた製剤が最も良好な軟骨再生を得られた。HAは粘性が高いため、HA濃度が高すぎると細胞の遊走能を阻害する可能性がある。したがって、HAの持つ細胞保護作用を維持しつつ、細胞の遊走能を妨げない最適の濃度が0.01%である、と我々は考えた。しかし現時点では、0.01%から0.5%のHA濃度で遊走能に差がなかったため、当初の仮説と異なる結果となった。現時点での結果からは、HAの濃度は軟骨損傷の治療成績に影響を与えない可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
今回の実験はサンプル数が各群5例と少なかったため、仮説とは異なる結果が得られた可能性がある。したがって、サンプル数を増やして再検討する必要がある(各群10例程度)。また、細胞の保存条件などが細胞の遊走能に影響を与えた可能性もあるため、細胞の培養方法や保存条件についても再検討する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた実験計画に遅れが生じたため、未使用金が発生した。
|
次年度使用額の使用計画 |
実験計画を再検討し、適切な使用計画を立案する予定である。
|