研究課題/領域番号 |
16K10919
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
長井 敏洋 東海大学, 医学部, 講師 (20514376)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 関節軟骨修復 / mutipleチロシンキナーゼ受容体阻害剤 |
研究実績の概要 |
変形性関節症(OA)は加齢や外傷による軟骨の損傷で関節内に炎症が生じ、軟骨下骨からの血管新生による軟骨変性とそれに引き続く骨棘形成を呈する。滑膜においても血管新生やマクロファージ、リンパ球の浸潤による滑膜炎を引き起こす。また血管新生はinnervationを引き起こし疼痛を生じる。近年、われわれは抗VEGF薬であるベバシズマブが滑膜炎やOAを抑制し疼痛を軽減すると報告した。本研究は国内で開発され甲状腺癌に適応のあるmutipleチロシンキナーゼ受容体阻害剤(mRTKs inhibitor)を用いて軟骨変性抑制効果や滑膜炎抑制効果や疼痛軽減効果を検討した。 日本白色家兎の片膝前十字靭帯切離モデルを作製し、術後5から8週目までmRTKs inhibitorの経口投与を行った。mRTKs inhibitorの投与量でA群:投与なしB群:0.3mg/kg/dayC群:1.0mg/kg/dayD群3.0mg/kg/dayの4群に分類した。術後12週で犠牲死し疼痛評価としてincapacitance testerを用いて患肢荷重配分比を測定し、滑膜炎の評価としてKreenのsynovitis scoreを、大腿骨顆部の骨棘形成を肉眼所見によるosteophyte formation scoreを用いて比較検討した。 患肢荷重配分比は術後12週時でA群39.0±5.6%、B群47.2±3.9%、C群47.4±3.5%、D群43.0±5.9%でA-B群間、A-C群間に有意差(p<0.05)を認めた。大腿骨両顆部の骨棘形成もA群と比較しB,C群で抑制されていた。滑膜組織は肉眼上、投与群で血管新生による色調変化は抑制されており、synovitis scoreもA群6.6±1.5、B群2.5±1.3、C群3.8±1.0、D群5.8±1.0でA-B群間、A-C群間に有意差(p<0.05)を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、概ね予定していた動物実験を遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
関節軟骨の組織学的評価と関節液中の軟骨同化、異化タンパク質はELISA法を用いて評価し、軟骨と滑膜と軟骨下骨の3試料をreal time PCR法を用いて評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物実験を重点的に施行したために、評価解析(消耗品や設備品の購入)が遅れたため
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次年度使用額の使用計画 |
現在までに施行した動物実験の評価解析に重点を置き、データ収集と不足分の動物実験を施行予定とする。
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