研究課題/領域番号 |
16K10921
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
高井 信朗 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (10226730)
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研究分担者 |
高橋 謙治 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30347447)
生田 太 日本医科大学, 大学院医学研究科, 研究生 (10810799)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 変形性膝関節症 / 内側半月板後節損傷 / 軟骨損傷 / キネマティクス / 保存療法 / 理学療法 / MRI T2 mapping / アライメント |
研究実績の概要 |
変形性関節症(osteoarthritis: OA)の対策は高齢社会における生活の質を向上させ、介護にかかる医療費を抑制するために極めて重要である。われわれはMRI T2 mapping を用いた初期膝OAの解析から青壮年期の内側半月板後節/後角変性断裂が関節軟骨変性と膝OA の進行に関連することを明らかにしてきた。内側半月板のアンカーの機能を持つ後節は、ストレスを受けやすく、年齢とともに変性して損傷しやすい。後節損傷によってアンカーを失った内側半月板は逸脱し、膝内側コンパートメントの関節ストレスが増加することで、軟骨損傷が進行すると考えられている。また、近年キネマティクス解析から膝OAの膝関節運動が破綻していることが報告されている。現時点で、内側半月板後節損傷に対する治療法は確立されていない。本研究はフルオロスコピーおよびMRI の三次元構築画像を用いて、膝関節運動異常が内側半月板後節断裂および軟骨変性を惹起するという仮説を立証し、膝関節運動是正による壮年期膝OA 発生進行予防法(AAE: Adapting Alignment Exercise)開発のデータを蓄積することを目的とする。 6か月間の介入後、AAEを実施したグループは、慣習的な筋力エクササイズを実施したグループと比較して、膝関節内転角度の変化量が小さかった。また、MRI T2 mappingによる関節軟骨変性の変化量は、AAE群が慣習的な筋力エクササイズ群よりも小さかった。 過去に歩行中の膝内転角度が増加すると軟骨変性が進行することが報告されている。AAEによって、異常な膝キネマティクスが改善し、関節ストレスが軽減することで、軟骨変性の進行を抑制したと考えられる。青壮年期の内側半月板後節/後角変性断裂を伴う膝OA患者に対して、AAEは膝OAの自然経過を改善する治療法となりうる。
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