研究課題
我々はこれまでに、DNA修復酵素APEX2の発現度は、変形性関節症の軟骨組織変性度と相関して高発現することを見出した。また、軟骨変性・異化の誘導因子に応答したDNA修復酵素APEX2の発現が、正常軟骨細胞ではみられず、OA患者由来軟骨細胞のみにおいて上昇していることを新たに明らかにした。すなわち、軟骨変性部ではDNA酸化損傷の結果としてグアニンなどのDNA酸化体などが高発現している。これに応答してDNA修復酵素APEX2活性は亢進するが、DNA損傷がAPEX2による修復を上回った場合には、DNA損傷が蓄積し、細胞死や軟骨組織の恒常性低下、軟骨変性につながっていくのではないかと考え、研究を進めてきた。しかし、メカニカルストレスに対して、軟骨および半月板細胞がどのように応答するか、そのメカニカルストレス応答調節機構(細胞内のストレス応答分子と細胞応答情報伝達路)、DNA修復酵素の活性変化と軟骨変性発生機序との関連については、さらに解析が必要であると考え、最終年度の計画として(1)メカニカルストレス条件下の軟骨および半月板細胞において、DNA修復酵素(APEX2,Ogg1)の発現の有無と活性の程度を解析し、ストレス応答の防御機構としての役割を検証し、(2)細胞ストレス応答調節機構の変化・破綻がもたらす軟骨変性の意義を実験的OAモデルで検証した。
すべて 2019
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International Journal of Nanomedicine
巻: Volume 14 ページ: 1283~1298
https://doi.org/10.2147/IJN.S193963