研究課題/領域番号 |
16K10930
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
足立 裕史 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (80420355)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 麻酔作用 / 薬物相互作用 / 脳波 / 血中濃度 |
研究実績の概要 |
麻酔薬の経時的な作用変化について、主として脳波解析を用いた麻酔深度の評価から、薬物の相互作用、麻酔深度への影響に関する新たな知見を得た。特に、ドパミン作動系の薬物と、一般に臨床に用いられている吸入麻酔薬との相互作用に関して多くの発見をし、脳波の解析によるリアルタイムな薬物動態解析に関して、モデル確立の基礎データを得た。以前に、臨床研究で行った成果の一部を補完する結果を得る事で、今後、更なる研究の発展に資するものと考える。 特に、麻酔深度と、麻酔終了後の覚醒時間との関係に関しては、誤解されていると推測される場面に新しい概念を導入する事が出来た。麻酔深度を深める事は、必ずしも覚醒時間の延長には繋がらず、寧ろ、ダイナミックな麻酔深度のコントロールによって、より適切な全身麻酔からの覚醒、回復を実現出来る可能性、状況を証明し得た。将来的には、臨床的応用を目指したいと考える。 薬物の血中濃度測定に関しては、機器の障害から研究状況に遅延が生じていたが、脳波測定、解析等の研究に関しては概ね順調に推移し、これまでの結果を、2018年秋の米国麻酔科学会で発表した他、2019年春のヨーロッパ麻酔科学会で成果を公表する予定である。機器の障害に関しても、研究機関を延長した平成31年度に解決し、実験の遂行が遅滞なく行えるものと判断する。 また、当初の計画であった最終年度の成果に関しても、2019年秋の海外の国際学会に演題を提出している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
薬物濃度測定に用いる予定であった、研究室現有の機器の修理が必要となり、検出器の新規購入予算のみを申請していた為、その手続きに時間を要した。研究期間を延長する事により、平成31年度中に、当初に予定していた研究を完遂する予定である。 薬物濃度測定に関わる分野以外の研究領域に関しては、特に脳波のリアルタイム解析に関しては順調に進捗しており、大きな問題は無いと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
計画より若干の遅延を生じたが、実験機器の修理、整備によって、必要であった薬物濃度測定が可能になると考える。 昨年度は、薬物動態の解析について遅延を生じた為、脳波測定に関する研究を先行して行い、拮抗薬に関する薬理学的な新しい知見を得て、国際学会への演題を応募する等、所定の成果を挙げた。 本年度は、本来の目的であった血中濃度の推移に関しても、検討を加え、全身麻酔中のリアルタイムな変化に関して、十分な知見を得て、研究を完成したいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
薬物動態の解析の為に、血中の薬物濃度を測定する研究計画を立案し、施設に以前より現有する装置に、追加する形で検出器の購入を予算計上したが、現有する本体の故障と、その修理、回収措置に時間を要したため、当初の計画年度中での研究が困難とり、次年度使用が生じた。 平成31年度は、修理が完了しており、薬物濃度測定に関しても研究を推進する予定である。 具体的には、測定器の購入に約1200千円、実験動物、試薬等の消耗品費に約800千円、国際学会発表用の旅費、雑費に500千円を見込んでいる。
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