研究課題
悪性高熱症(MH)素因を,スキンドファイバーを使用したCa-induced Ca release (CICR)速度の亢進の有無で判定し,この検査後の残余筋を培養し,CICR速度の亢進の有無で還流溶液の温度上昇によるCa動態を測定し,ダントロレンの温度上昇に対する抑制作用について検討した.MH原因遺伝子であるRYR1の変異を導入したHEK細胞についても検討した.方法はMyotubesの培養,カルシウム蛍光指示薬によるCa2+動態の測定により行った.対象はMH素因検査での陽性者3名と正常者6名で,還流溶液(BSS)の温度を35℃~43℃まで変化させて,蛍光強度ratioの上昇率を,35℃のCaffeine刺激を100%として,各種刺激薬で測定した.その結果,①温度上昇による影響は,1)灌流液の温度にratioは比例したが,2)ratioの上昇率はMH素因検査の有無で差はなかった.②HEK細胞では1)ratioはwild type,Ala4894ThrおよびArg2508Cysのすべてで上昇し,2)温度上昇によるRatioの上昇比率は3群間で有意差があり,3)ダントロレンは,HEK細胞における静止時のCa2+濃度低下作用に3群間で有意差を生じ,Arg2508Cysで最大であった.ダントロレンのCa低下作用における温度の影響は3群間で差はなかった.③ヒト培養骨格筋細胞では,RYR1遺伝子の変異のある培養骨格筋細胞でCICR速度の亢進が認められた.ダントロレンの43℃での作用は,すべての症例で35℃のときより大きかった.以上のことより,環境温の上昇による骨格筋細胞内のCa濃度の上昇は,ヒト培養骨格筋細胞でもHEK細胞でも確認された.ダントロレンはHEK細胞でも培養骨格筋細胞でも,温度上昇によりCa濃度を低下させたことから,骨格筋細胞ではその予防投与による効果の可能性が示唆された.
すべて 2018 その他
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J Anesth
巻: 32 ページ: 174-181
10.1007/s00540-018-2451-6
巻: 32 ページ: 616-623
10.1007/s00540-018-2526-4
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