研究実績の概要 |
敗血症性ショック患者においてICU入室時の腸型脂肪酸結合蛋白(Intestinal fatty acid-binding protein: I-FABP)および28日死亡に有意な関連があることを明らかにした(Sekino M, et al. J Crit Care 2017)。また、舌の肉眼的虚血所見とI-FABP上昇に関連があることを証明した(Sekino M, et al. Shock 2018)。I-FABP測定は研究目的の使用に限られる。舌を観察することにより小腸粘膜傷害の有無や予後の予測を行なうことができる可能性を示した。グラム陽性菌を原因とする敗血症性ショック患者におけるエンドトキシン血症とI-FABP関連は認められないことも併せて報告した(Sekino M, et al. Medicine 2019)。 また、I-FABPは腎排泄であるため腎機能障害によりその値が上昇している可能性や腎代替療法により血中濃度が低下する可能性が指摘されている。そのため腎機能正常患者、慢性腎不全患者、維持透析患者におけるI-FABP値および血液透析における除去に関する研究を行い、その成果を報告した(Kyoko O, Sekino M, et al. J Surg Res 2018; 230:94-100)。I-FABPを腸管虚血の診断および重症患者の予後予測に使用する場合には、I-FABPは腎機能および腎代替療法により影響を受けることに注意する必要性があることを示した。 また、維持透析中の人工心肺下心臓手術患者において、ICU入室時のI-FABP値は院内死亡に有意に関連することを明らかにし、またI-FABPの上昇には、人工心肺時間の延長、ノルアドレナリン使用量の増加、ドパミン使用量の低下、IABPの使用が有意に関連していた。本研究結果については、現在英文誌に投稿中である。
|