研究課題
臍帯動脈における血管反応性は、いまだに不明な点も多い。われわれは、出産直後のマウスから摘出した臍帯動脈において、Pressure Servo Control system を用いて動脈内腔の圧を変化させたところ、臍帯動脈は加圧に応じて強いoscillation を伴う収縮反応を惹起することを見出した。このことから、臍帯動脈は血圧変化に伴い収縮反応を生じるauto-regulation メカニズムを有していると推測されるが、これまでに臍帯動脈血管を用いた研究は少ない。今回、マウスの娩出された胎盤から臍帯動脈を摘出し、血管反応性を調べるとともに、血管内圧変化で血管収縮反応を生じるか検討した。さらに、ヒト臍帯動脈における各種麻酔薬の反応性ならびにそれらのmyogenic mechanism(筋原生収縮機構)に及ぼす効果を合わせて検討した。結果として、臍帯動脈は、内頚動脈や大動脈、大腿動脈に比較して強い血管収縮を生じること、また内圧負荷に比例して筋源性収縮反応を起こすことが確認された。さらに、それらの筋源性収縮反応は、NO阻害薬で増強することからNOにより抑制されていいること、また溶液の温度の低下により減衰することから環境温度の影響を受けやすいことが判明した。次に、臨床研究として、手術時におけるアドレノメデュリンの炎症マーカーとしての有用性を検討した。アドレノメデュリン (AM) は強力な血管拡張作用を有する循環調節ペプチドであるが、他にも臓器保護作用や抗炎症作用、組織再生作用などが知られている。循環器疾患、炎症性疾患、敗血症などでAMの血中濃度が増加するという報告はあるが、周術期にどのような変化を示すかについての報告は心臓血管手術以外ではほとんどない。今回、AMは、心臓手術や食道がん手術などの手術侵襲の大きな手術 で大きく上昇することが判明した。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件)
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