研究課題/領域番号 |
16K10945
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
安藤 富男 横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (00193110)
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研究分担者 |
宮崎 智之 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (30580724)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ミダゾラム / KCC2 |
研究実績の概要 |
幼若動物では鎮静薬の効果が減弱しており、これには細胞内塩素イオン濃度が影響している。申請者らは、カリウム-塩素イオン共輸送担体の一つNKCC1をブメタニド投与により阻害し、細胞内塩素イオン濃度を下げることにより、非鎮静量のミダゾラム投与で鎮静が獲得できることを明らかにしている(Koyama, Andoh, Anesthesiology. 2013)。一方で、NKCC1と協調して細胞内塩素イオン濃度を規定するKCC2の幼若動物における機能については不明な点が多い。本研究では、①幼若動物の鎮静におけるKCC2の役割について明らかにし、②生後発達段階におけるNKCC1、KCC2の鎮静に対する影響の違いを検討する。最終的に、③両担体への作動薬を用いて、ミダゾラム連用に伴う鎮静耐性に対する鎮静耐性改善薬としての応用可能性を検討する。 P7のラットに10mg/kgの濃度でミダゾラムを投与すると鎮静は得られないが、そこにKCC2の機能活性化薬であるCLP290(Yves DeKoninchより譲渡)を併用すると、同濃度のミダゾラムでもラットは入眠する。この動物の組織染色を行うと、大脳皮質において、ミダゾラム+CLP290併用群においてのみ興奮した神経細胞数が低下していた。またこのメカニズムとして、CLP290がKCC2のリン酸化を増大させることが明らかとなった。現在③の実験に着手しており、ミダゾラム30mg/kgの濃度で投与すると入眠することが分かった。またその入眠時間は3日間連用すると、3日目には1日目より入眠時間が有意に短縮した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験系を大きなトラブルなく適切に立ち上げることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
③の実験に着手しており、ミダゾラム30mg/kgの濃度で投与すると入眠することが分かった。またその入眠時間は3日間連用すると、3日目には1日目より入眠時間が有意に短縮した。このメカニズムにKCC2のdown regulationが関与しているかを生化学的に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の立ち上げが順調であり、行動実験に必要な動物や消耗品が当初の予定より少なく済んだため。 次年度は、複数回ミダゾラム投与により死亡する個体が出てくる可能性があり、今年度の未使用金額をそうした実験個体数の増加に充てる。
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