研究実績の概要 |
熱射病モデル作成;C3H/HeNマウス(male, 8-10 weeks old、weighing 20-25g)を人工気象室で暑熱環境下(42~43℃, 湿度50%、水分制限なし)、熱曝露4時間行った(生存実験は7時間)。熱曝露後は室温環境(25℃)に戻した。熱曝露後、セボフルラン麻酔下に血液、脳採取を行った。血液はEDTA添加シリンジに心臓穿刺で採取後、遠心を行い血清分離し測定まで-80℃で保存した。脳もホモジナイズ後、遠心し上清を-80℃で保存した。 炎症メディエーターであるHMGB1, IL-6の血中濃度、血管内皮細胞障害を評価するため、血中protein C、thrombin-antithrombin complex(TAT)濃度をELISAで測定した。熱曝露による中枢神経障害を評価するため、脳虚血・低酸素マーカーであるglutamate、また神経障害マーカーであるglycerolの脳内濃度を測定した。また、炎症メディエーターであるIL-1betaの脳内濃度をELISAで測定した。さらにvasopressin、tissue factor(TF)の脳内濃度測定を行った。 ミトコンドリア機能の熱曝露による障害への関与を評価するため、熱曝露前にATP産生を活性化するCoQ10、またはミトコンドリアの抗酸化、活性酸素除去に関与する薬物(N-acetylcystein;NAC)を投与した。薬物投与が熱曝露による血管内皮細胞障害、中枢神経障害、死亡率にどのように影響するか検討した。薬物を熱曝露前に投与する方法(予防的効果)に加え、曝露後(2時間後)に投与する方法(治療的効果)を検討し、血管内皮細胞障害、中枢神経障害、死亡率に与える効果を評価した。
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