今後の研究の推進方策 |
研究計画は、実地臨床のマンパワー不足のため進んでいなかったが、本年度より教室員9名の増員があり、体制が整いつつある。新生児血小板のプロテオミクス解析の実施体制はすでに確立されている。iTRAQ受託サービス(Bio Garage)を利用し、新生児と成人血小板のタンパク発現解析を行う。新生児と成人とで発現に大きな差が見られる分子群のうち、いくつかは免疫系や組織修復に対する機能がすでに知られた分子であると予測される。まずタンパク発現量の差違をより定量的な別の方法で確認する(フローサイトメトリー(FACS)、ウエスタンブロッティング)。差違が確認できた分子については、知られた機能に基づき、データの医学的な意義を考察する。免疫機能調節に関わる機能が知られた血小板分子にはサイトカイン(IL-1, TGF等),HMGB1, ケモカイン、Toll様受容体, TREMリガンド, CD40, CD154と、組織修復能に関連する増殖因子(PDGF, VEGF, HGF,EGF等)がある。 対照的に、新生児と成人とで発現に大きな差が見られる分子群のうち、その免疫系や組織修復に対する機能が全く不明な分子が多数含まれると予測する。これらの分子についてはバイオインフォマティクスやマイニングにより機能予測に尽力するが、それでも免疫系や組織修復との関連性を示す情報が得られないときには、ケースバイケースで判断し一旦保留とし本研究の別の部分にリソースを向ける。Part-1新生児血小板のプロテオミクス解析およびPart-2 PRP抽出液の免疫調節能・血管内皮修復能の解析を同時並行させ研究を推進する。Part-1の結果により、Part-3新生児PRP抽出物の敗血症に対する効果の検討を実施するかどうか決断する。
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