TSPOシグナルを介してベンゾジアゼピンが免疫抑制作用を発揮することを培養細胞であるTHP-1細胞を用いて解析を行った。LPSでTHP-1を刺激するとIL-6やIFN-gammaを産生し、CD86といった表面抗原の発現も増加する。ここにベンゾジアゼピンの代表であるミダゾラムを作用させるとLPSによるこれらの分子の発現の抑制が起こる。ミダゾラムの抑制作用にミダゾラムの作用分子のTSPOとGABAのどちらが関わっているのかを探索する目的で、LPSによるTHP-1の活性化作用に対する複数のTSPOリガンドとGABAリガンドの影響を評価した。GABAリガンドではこの抑制作用が発生しないのに対して複数のTSPOリガンドでLPSによるTHP-1細胞の活性化の抑制作用が認められた。このことからベンゾジアゼピンの抑制作用にはどちらかといえばTSPOが関わっていることが示唆された。次にミダゾラムの作用にTSPOが関わっていることを解析するために遺伝学的アプローチを行った。すなわちTSPOの発現を減少させたTHP-1細胞の作成とTSPOの発現を増加させたTHP-1細胞を作成してこれらの細胞に対して同様の実験系を用いて解析を行った。THP-1にTSPOのsiRNAを導入しtSPOの発現を抑制した細胞でミダゾラムの作用を解析したところミダゾラムの抑制作用は損なわれた。次にTSPOを過剰発現したTHP-1細胞を作成するとミダゾラムの効果は増幅された。これらの結果からミダゾラムのLPSによるTHP-1細胞の活性化の抑制作用はTSPOが関わっていることが示された
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