研究課題/領域番号 |
16K10959
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中村 隆治 広島大学, 病院(医), 助教 (70423366)
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研究分担者 |
佐伯 昇 広島大学, 病院(医), 助教 (30325170)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 循環モニタリング / 周術期管理 |
研究実績の概要 |
本研究は、動脈圧の脈圧振幅の呼吸性変動(pulse pressure variation:PPV)と 中心静脈圧(central venous pressure:CVP)を上腕血圧測定用のカフのカフ圧脈波を用いて無侵襲で低コストに測定する手法の開発を目的とする。本研究ではこの手法で測定するPPVの代替パラメーターをezPPV、CVPの代替パラメーターをezAVPとしている。 初年度では、まず、上腕血圧測定用カフの加圧アルゴリズムの検討を行った。考案したアルゴリズムでは、まず一定時間ezPPV測定のために一定圧力で加圧を行った状態を維持し、その期間にPPVに相当するカフ圧力脈波の呼吸性変動を計測する。続いて、数秒の間隔でカフ圧力をステップダウンさせていき、各ステップでのカフ圧力脈波を測定する。具体的には、ezPPV測定部での加圧パターンは45mmHgの圧力で60秒維持し、その後ezAVP測定部分ではezPPV測定部での45mmHgの加圧から3~5mmHgずつ低下させて6秒間維持するようにした。 初年度には、この加圧パターンで10症例の測定を行い、約250回分の測定データを取得した。ezPPVに関しては実測した動脈血圧波形から得たPPVとの間にR=0.65での有意な相関を確認した。ezAVPに関しては実測した中心静脈圧との間にR=0.735での有意な相関を確認した。この10症例でのデータからezPPVおよびezAVPを用いて推定PPV、推定CVPを算出する換算式を作成することができたため、2年時にはこの妥当性検証を計画通り進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では初年度に信号計測に最適な加圧アルゴリズムの確立及び ezPPV と PPV、ezAVP と CVP の換算式の確立を行い、2年度目以降にその妥当性検証およびezPPVまたはezAVPを用いることによる循環管理への影響を検証する予定としていた。 まず、加圧アルゴリズムを決定し、アルゴリズム通りに加圧を行うモニタリング機器を準備した。それを用いて10症例の測定を行い、約250回分の測定データを取得した。ezPPVに関しては実測した動脈血圧波形から得たPPVとの間にR=0.65での有意な相関を確認した。ezAVPに関しては実測した中心静脈圧との間にR=0.735での有意な相関を確認した。この10症例でのデータからezPPVおよびezAVPを用いて推定PPV、推定CVPを算出する換算式を作成することができており、おおむね当初の予定通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
2年目には予定通り、換算式の妥当性検証を目的とする継続研究を行う予定である。初年度同様のアルゴリズムで10例程度の測定を行い、換算式に当てはめることでPPVおよびCVPの推定精度の検証を行う。許容できる結果が得られる場合、次のステップでは新モニターを用いることが実際の循環管理に影響を与えることができるかどうかの検証を行う。 現在の問題点としては、まず、カフ圧脈波へのノイズ混入を自動で高精度に除去するか補間を行うアルゴリズムを開発する必要があることがあげられる。また、ezPPVとPPVの関連およびezAVPとCVPの関連に個人差が認められるため、両者の間での換算結果がばらつく問題がある。これらの問題は2年目以降に継続して解決を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
調達機材の変更により、設備備品費が変更となっている。消耗品については、一部前研究での調達分を使用したため、請求額が少なくなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
新たに測定機器を調達する計画のため、当初計画していなかった29年度で設備備品費を計上する計画である。消耗品、旅費などは当初の予定通り使用することを計画している。
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