研究課題/領域番号 |
16K10962
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
徳田 賢太郎 九州大学, 大学病院, 助教 (10419567)
|
研究分担者 |
白水 和宏 九州大学, 大学病院, 助教 (30568960)
早水 憲吾 九州大学, 大学病院, その他 (70444833)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | チオ硫酸 / 薬剤性心筋障害 / 心筋保護 |
研究実績の概要 |
本研究では、酸化ストレスおよびアポトーシスによって用量依存性に心筋障害を発症するドキソルビシン(DOX)誘導性心不全モデルを用いて、チオ硫酸が心筋保護効果を発揮するのか、その作用メカニズムを生体及び分子レベルで解明することを目標とする。これまでに、マウスを用いたDOX誘導性心不全モデルを確立することに成功し、以下の事項を明らかにすることができた。 1.DOX誘導性心不全モデルの妥当性を、DOXによる心筋障害が生じることをマウス心エコーで評価することで確認した。2.DOX投与後にチオ硫酸ナトリウム(STS)を投与することで、心収縮能低下が抑制されることが明らかになった。3.DOX投与後にSTSを投与することで、6日後のマウスの生存率が改善することを示した(10% vs. 50%,p<0.05)。4. DOX投与によって生じる心臓関連生化学検査値(クレアチニンキナーゼ、乳酸脱水素酵素)の悪化が、STS投与によって改善することを示した。5.DOX投与によって誘導されるアポトーシスを、STS投与することによって抑制されることを示した。現時点で得られている結果に関しては、2018年度中に国際学会で発表する予定としている。 今後の展望として、DOXによって心筋に生じる酸化ストレスを評価し、STSがその酸化ストレスを抑制する可能性について、マウスおよび培養心筋細胞を用いて検討することを計画している。また心筋培養細胞を用いた分子機序の解明についても検討を重ねていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現時点で、以下の事項が明らかとなった。 1. DOX誘導性心不全モデルの妥当性を、DOXによる心筋障害が生じることをマウス心エコーで評価することで確認した。2. DOX投与後にチオ硫酸ナトリウム(STS)を投与することで、心収縮能低下が抑制されることが明らかになった。3. DOX投与後にSTSを投与することで、6日後のマウスの生存率が改善することを示した(10% vs. 50%, p<0.05)。4. DOX投与によって生じる心臓関連生化学検査値(CK、LDH)の悪化が、STS投与によって改善することを示した。5. DOX投与によって誘導されるアポトーシスを、STSが抑制することを示した。 以上の結果はマウスを用いた実験結果であり、当初計画していた心筋培養細胞を用いた実験に関しては一貫した結果が得られていないのが現状である。従ってやや遅れていると判断する。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の展望として、DOXによって心筋に生じる酸化ストレスを評価し、STSがその酸化ストレスを抑制する可能性について、マウスおよび培養心筋細胞を用いて検討することを計画している。また心筋培養細胞を用いた分子機序の解明についても検討を重ねていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりも全体としてやや遅れ気味の進捗状況であるため、次年度使用額が発生している。しかし、実験結果が次第に出揃ってきており、次年度ではDOXによって心筋に生じる酸化ストレスを評価し、STSがその酸化ストレスを抑制する可能性について、マウスおよび培養心筋細胞を用いて検討することを計画している。また心筋培養細胞を用いた分子機序の解明についても検討を重ねていく予定である。
|