研究実績の概要 |
マウス急性肝不全モデルを作成し、治療薬として検討したファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬が保護作用を有することを実証することができた。まず、急性肝不全による肝臓の酵素の上昇を抑制することを証明した。具体的にはASTが大幅に疾患モデル群では4桁まで上昇するが、ファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬は投与後8h,24hと優位に抑制した。その次に組織を採取し、肝臓の炎症の程度を肉眼的にも確認した。こちらも8h, 24hと肝臓組織の壊死部位がファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬投与により優位に抑えられていることが観察できた。炎症性のサイトカインの上昇も肝不全では観察されるが、ファルネシルトランスフェラーゼ抑制薬はその上昇を抑えた。具体的にはIFN-γ、IL-6, TNF-αの上昇を抑制することを証明できた。結果的にcaspase3を抑えることを証明でき、組織的にもTUNEL染色により確認できたので、アポトーシスの抑制が大きく保護作用に関与することが証明できたので、大まかな保護作用の流れを掴むことができたが、機序の解明までには至っていない。また、実験の結果より脾臓へも影響が疑われる所見が観察されたため、免疫系の関与が強く疑っている。以上により現在フローサイトメトリーなどを用い機序の解明の検証を継続している。脾臓へも影響を与えていそうであるので、今後肝臓以外の臓器にも着目して検証を行う予定である。
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