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2018 年度 実施状況報告書

Arginase阻害による肺高血圧治療の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16K10968
研究機関横浜市立大学

研究代表者

新堀 博展  横浜市立大学, 医学研究科, 客員准教授 (60404993)

研究分担者 古賀 資和  横浜市立大学, 附属病院, 助教 (00637233)
水野 祐介  横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80433192)
研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード一酸化窒素 / 内皮細胞 / 肺高血圧 / arginase / eNOS
研究実績の概要

内皮由来一酸化窒素合成酵素(eNOS)の活性低下と一酸化窒素(NO)産生減少は、多くの血管障害に関与しており、肺高血圧症においても肺血管のeNOS活性低下が知られている。arginaseは基質であるarginineをeNOSと競合するため、その亢進は血管障害への関与が疑われるが、肺血管での役割は殆ど知られていない。
我々はモノクロタリン誘発肺高血圧ラットの肺組織において、eNOS発現量に変化が無いにも関わらず、肺血管張力測定における肺動脈の内皮機能依存性弛緩反応の減弱していることを観察した。同時にarginaseの著しい発現亢進を認めたことから、発現の亢進したarginaseがeNOSと基質のarginineを競合し、eNOS活性に影響している可能性が示唆された。
そこで、血管リング標本において、内皮依存性弛緩反応をarginase阻害薬を用い検討した。正常ラット肺動脈では、arginase阻害薬NOHA存在下で、内皮依存性弛緩反応は亢進した。一方肺高血圧ラットでは、eNOS活性は低下し、内皮依存性弛緩反応は減弱しているが、NOHA存在下でも変化なかった。しかしNOHAとarginine両方の存在下では、内皮依存性弛緩反応が回復が見られた。以上より、内皮依存性弛緩反応の減弱の原因として、細胞内arginineのavailabilityの低下による可能性が示唆された。NOHA単独で弛緩反応が改善しなかったため、arginase発現亢進以外の要因もeNOS activity低下の原因として疑われた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

肺高血圧ラットにおける肺血管内皮由来弛緩反応減弱の原因として,arginase 発現亢進に加え細胞内arginineの利用障害の関与が疑われた。更に、eNOS activity自身が低下し、またNOHA単独では弛緩反応を改善しなかったことから、arginase亢進以外にeNOS activityを低下させる要因の存在が示唆された。

今後の研究の推進方策

肺動脈における内皮細胞由来弛緩反応に対するarginase阻害による増強は、正常ラットでは観察され、一定の関与は認められた。しかし肺高血圧モデルにおける弛緩減弱の原因として、arginase亢進によるargininの消費、細胞内arginineの利用障害等、要因が関緒していることも明らかになった。eNOSへの細胞内外のargnine供給経路の更なる解明が、肺高血圧発症機序の理解につながると思われた。内因性、外因性のarginineの利用経路を分けて考えるため、選択的阻害剤の使用、細胞内arginine濃度の測定等が今後有用と考えている。

次年度使用額が生じた理由

これまでに生じた未使用額を使用した。上記の動物実験の結果、arginase阻害のみではeNOS activity、内皮弛緩反応は改善せず、arginineの利用経路を解明する必要があると考えられた。動物実験を一旦停止し、細胞内のarginine利用経路について解明するための、細胞実験に移る予定である。具体的にはarginineの利用経路毎との阻害のeNOSに対する影響、細胞内arginine濃度、メチル化arginineでargininに拮抗作用のあるADMA,SDMA濃度の測定が有用と考えている。

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公開日: 2019-12-27  

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