研究課題/領域番号 |
16K10969
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
森島 徹朗 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (10448714)
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研究分担者 |
大澤 匡弘 名古屋市立大学, 大学院薬学研究科, 准教授 (80369173)
祖父江 和哉 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (90264738)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 術後認知機能障害 / 糖尿病 / 麻酔 / 抗酸化 |
研究実績の概要 |
高齢者の麻酔件数は急速な高齢化に伴い増加している。高齢者で発症率の高い術後認知機能障害(POCD)が問題となっており、予防法の確立が急務である。また、POCDの発症因子として挙げられる糖尿病の有病率も増加している。そこで本研究では、アジア系の糖尿病に類似した症状を呈するTSODマウスを使用し、糖尿病マウスにおけるPOCDモデル(DM-POCDモデル)を作成する。このモデルを使用し、麻酔薬によるPOCDの発症機序を解明して、抗酸化栄養素の投与による予防法の確立を目的とする。 まず、DM-POCDモデルの確立のため、糖尿病の症状が著明になるTSODマウスの10-12週齢のオスを使用し、麻酔投与前に新規物体認識試験を実施した。吸入麻酔薬としてイソフルランを1.4%、酸素を50%、2時間吸入させ、麻酔中はマウス用のパルスオキシメーター(PowerOxy900,バイオリサーチセンター株式会社)で酸素飽和度を、酸素濃度計で吸入酸素濃度をモニターした。その後、新規物体認識試験を再度実施し、麻酔前後の認知機能の低下を確認し、イソフルランによるDM-POCDモデルを確立した。麻酔前後には、他にもオープンフィールドテスト、明暗箱テスト、尾懸垂試験等を実施し、いずれもコントロールの状態を安定して測定できるようになったが、さらなる確認が必要である。 また、DM-POCDマウスの脳の組織学的評価を現在行っているところである。麻酔前後のサイトカインや抗酸化物質の測定も、引き続き行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DM-POCDモデルの確立に当初の計画より時間がかかったため、組織学的評価やサイトカイン等の測定が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
組織学的評価とサイトカイン等の測定は、研究分担者の大澤匡弘氏から助言を受けつつ、速やかにデータをまとめる。また、DM-POCDモデルに抗酸化物質であるホエイペプチド添加栄養剤を麻酔前に1週間投与することで、POCDを予防できるかの検討を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
DM-POCDマウスの脳の免疫染色やサイトカインの検索等が遅れており、またホエイペプチドによる予防効果の確認を次年度に行うため、次年度使用額が生じることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
脳の免疫染色やサイトカインの検索等を速やかに行う。また、DM-POCDモデルのホエイペプチド投与によるPOCD予防効果を検討するため、実験動物の購入、サイトカイン検索、脳の免疫染色等に、申請した助成金を使用する予定である。
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