研究実績の概要 |
本研究のでは、テトラサイクリン系抗生物質であるミノサイクリンの脳への直接投与が頭部外傷モデルのマウスの機能的予後を改善するかを解明する事にある。本研究ではミノサイクリンの脳への直接投与が頭部外傷後の機能的予後を改善するかについて、行動学的、組織学的、生化学的に評価を行った。 頭部外傷モデルの作成にあたっては過去の報告を修正して行った(Niesman et al. Journal of Neuroinflammation 2014, 11:39)。頭部外傷の作成については、全身麻酔下にて、開頭手術を行いINP-150 pneumatic impactorを用いて大脳皮質部に外傷を与えた。ミノサイクリンまたは生理食塩水の投与は、PE50カテーテルを損傷部位に留置し、頭蓋骨除去部に人工硬膜をカテーテルごと瞬間接着剤で貼り付け薬液が漏れないようにして、カテーテルから薬剤の投与を行なった。行動実験としては、運動機能を見るInverted Grid testを行なった。組織学的評価としては、欠損部体積の比較とミクログリア及びアストロサイトの発現を見るためにIba-1及びGFAPで免疫染色を行った。また、生化学的評価として、GFAPを用いてウェスタンブロット を行った。ミノサイクリン投与群はコントロール群(生理食塩水)に比べて、すべてのタイムポイントで機能低下の程度が少ないが、有意な差には至らなかった。欠損部体積についても、ミノサイクリンと生理食塩水で有意な差は認めなかった(Mino 5.7±2.3, Saline 7.5±1.6 (P=0.32))。免疫染色についても、GFAP 、Iba-1共にミノサイクリン群とコントロール郡で差が見られなかった。ウェスタンブロット についても、同じくミノサイクリン群とコントロール郡で差が見られなかった。
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