研究課題/領域番号 |
16K10973
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
鵜澤 康二 杏林大学, 医学部, 助教 (30530703)
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研究分担者 |
萬 知子 杏林大学, 医学部, 教授 (40210801)
牛山 明 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (60291118)
安藤 直朗 杏林大学, 医学部, 助教 (10752199)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内皮細胞機能 / ヒドロキシルエチルスターチ / グリコカリックス / 内皮細胞機能 / 大量出血 |
研究実績の概要 |
大量出血では、細胞外液もしくは人工膠質液が投与されるが、その内皮細胞機能に対する効果は不明である。申請者は近年注目が集まっているglycocalyx (GCX)に着目し、人工膠質液: hydroxyethyl starch(HES)70kDaと130kDaのGCXに対する影響に関して研究した。 BALB/cマウスに生体皮膚観察窓を移植し、生体蛍光顕微鏡にて末梢循環を観察できるモデルを使用した。内頸静脈から1.5mlの血液を脱血し、等量の輸液(生食(NS)、アルブミン(ALB)、HES130)によって蘇生した。GCXの厚さを計測し、syndecan-1の血中濃度を測定することで、GCXの崩壊の程度を評価した。各種蛍光色素を用いて、間質に漏出した色素の蛍光強度を測定し、経時的に血管透過性を評価した。血液ガス分析や7日累積死亡率も測定した。 NS群は、対照群と比較しGCXの厚さが有意に減少し、syndecan-1の濃度は有意に高値であった。一方でALB群とHES130群は、対照群と比べてGCXの厚さとsyndecan-1は、有意差はなかった。TMR-DEX40の間質蛍光強度は、すべての群で有意差はなかった。FITC-HES70の間質蛍光強度は対照群と比べて、各測定時間でHES130群において有意に低値であった。蛍光色素の血管内の局在に関しては、TMR-DEX40では血管内腔に均一であったのに対して、FITC-HES70では、対照群、NS群、ALB群で血管内壁に局在し、HES130群で、血管内腔に均一に存在していた。血液ガスでは、HES130群において、乳酸値とpHで改善していた。NS群HES130群は、7日累積死亡率が対照群に比べて高かった。 出血時の初期蘇生輸液に関して、生食はGCX機能を障害するが、HES130はGCXの崩壊を抑制し、血管透過性亢進を抑制すると考えられる。
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