研究課題/領域番号 |
16K10976
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
片山 浩 川崎医科大学, 医学部, 教授 (90161067)
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研究分担者 |
千葉 義彦 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (00287848)
花崎 元彦 国際医療福祉大学, 国際医療福祉大学病院, 教授 (60379790)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 全身麻酔 / 臓器保護 |
研究実績の概要 |
本研究課題の初年度に当たる平成28年度は、腎虚血再灌流(IR)傷害時に発現変動するmicroRNA (miRNAs)および遺伝子の同定を試みた。 1)雄性Wistarラットを3群(対照(C)群、虚血再潅流(IR)群、セボフルラン(S)群)に分けた。ペントバルビタールで麻酔し動静脈路確保、気管切開を行った後に人工呼吸を開始した。開腹して両側腎門部をクランプ(=虚血、30分)、解除(=再潅流、1時間)の後に両腎を摘出し一方はRNA later液中に保存、もう一方は凍結保存した。C群は回復操作のみを行った。またS群はIR群を同様のプロトコルだが気管切開後の全行程で2%セボフルランを付加した。 2)3群から得られた腎組織よりsmall RNAを含むtotal RNAを抽出し、そのmiRNAマイクロアレイ解析結果をクラスタリング解析したところ、12分子種のmiRNAsについて興味深い発現変動が認められた。この12分子種のmiRNAsについて、IR群において4分子種の発現低下が認められ、そのうちの1分子種についてS群におけるリバースが確認できた。一方、IR群において8分子種の発現増加が認められ、そのうちの4分子種についてS群におけるリバースが確認できた。 3)現在、これら発現変動の認められたmiRNAsについてリアルタイムPCR法を用いたvalidationを行うとともに、遺伝子発現変動についてもDNAチップを用いて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎虚血再灌流(IR)傷害時に発現変動するmiRNAsについて、網羅的におおよその見当を付けることができた。
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今後の研究の推進方策 |
アレイ解析の結果、今回用いたクラスタリング解析の基準からは外れているが、二倍以上の発現変動が認められたmiRNA分子種も存在しており、これらの分子種についてもリアルタイムPCR法を用いて再確認して、変動分子種を網羅する。さらに、発現変動遺伝子の網羅的解析も行い、バイオインフォマティック解析の情報も合わせてmiRNAのターゲット遺伝子を予測して実際に同定するとともに、全身麻酔薬の効果について解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
腎虚血再灌流(IR)傷害モデルからの腎組織採取において、出血およびそれに伴う低血圧、体温上昇もしくは低下など、実験環境が大きく影響を与えうる因子を極力除いたサンプルを得ることに注力した。 このため、比較的に安価で行える動物実験の比重が高まり、その後、比較的に高価であるtotal RNA抽出、miRNAマイクロアレイ解析、クラスタリング解析などを年度の後半に行った。サンプル採取に万全を期した結果、これらの解析の開始時期が当初より若干遅れたことが次年度使用額を生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
miRNAマイクロアレイ解析、クラスタリング解析、リアルタイムPCR法など各種の解析を行う予定である。
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