外傷出血モデルを以下のように作成した。セボフルラン麻酔下にマウス(C3H/HeN、male、8-10 weeks old、weighing 20-25g)を仰臥位にし、腹部正中切開を行い開腹後、縫合閉腹した。その後、両側大腿動脈にカテーテルを顕微鏡下に挿入し、一方を動脈圧モニター用、一方を血液脱血および輸液ルートとして使用した。麻酔からマウスを覚醒させ、血圧が正常(80mmHg)に回復後、脱血を開始した。脱血は30分かけ、総循環血液量の60%を脱血の後、平均血圧を35±5mmHgに90分間維持した。低血圧維持後、脱血量の4倍のリンゲル液で30分間かけて蘇生し血圧を正常範囲まで上昇させた。その後、カテーテルを抜去し、保温されたケージ内で飼育した。 蘇生2時間後、セボフルラン麻酔下に血液採取を行った。血液はEDTA添加シリンジに心臓穿刺で採取後、遠心分離し血清を採取し、血清中のIL-6、HMGB1、TNF-alpha濃度をELISAで測定した。また全血をLPSまたはStaphylococcus aureus cell suspension (SAC)で24時間、37℃下で刺激しCCL3、IL-12、CCL2、IL-10産生能をELISAで測定した。 さらに、1)ミトコンドリア機能をdepleteする薬物(Oligomycin; ATPase inhibitor)でマウスを処理した場合、2)ミトコンドリア内膜・呼吸鎖に関与する薬物(CoQ10)、3)ミトコンドリアの抗酸化、活性酸素除去に関与する薬物(N-acetylcystein;NAC)の投与を蘇生中に行ったことで侵襲下での免疫担当細胞のサイトカイン、ケモカイン産生プロフィール変化を制御可能か検討した。
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