研究課題/領域番号 |
16K10985
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
下山 恵美 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (10206253)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 化学療法惹起性末梢神経障害 / オキサリプラチン / 神経障害性疼痛 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
本研究はがん治療における化学療法を受けている患者でみられる化学療法惹起性末梢神経障害や糖尿病患者でみられる糖尿病性末梢神経障害で共通してみられる対称性遠位末梢神経障害のマウスにおけるモデルを作成し、行動学的評価法、形態学的評価法などを確立したうえで、予防薬・治療薬を開発することを目指すものである。化学療法惹起性末梢神経障害モデルとして昨年度作成したマウスにおけるオキサリプラチン繰り返し投与モデルにおける末梢神経障害に対し、ミトコンドリア保護作用を有するペプチドであるSS-20の予防効果を検討した。末梢神経障害による神経障害性疼痛は非侵害受容性の機械的刺激や冷温刺激に対する疼痛行動により評価した。また、形態学的には後肢足底のintraepidermal nerve fiberの消失で評価した。オキサリプラチンの投与期間中、SS-20を浸透圧ポンプにより持続皮下投与することにより、神経障害性疼痛による疼痛行動や後肢足底のintraepidermal nerve fiberの消失が抑制された。SS-20に用量依存性が見られた。SS-20による明らかな副作用はみられなかった。また、オキサリプラチン惹起性の神経障害性疼痛に対するSS-20の急性投与の効果を検討したが、疼痛行動に変化は見られなかった。以上の結果より、SS-20はオキサリプラチン惹起性末梢神経障害を予防できることが示された。このことは、オキサリプラチン惹起性末梢神経障害はミトコンドリア障害が関与していることを示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は化学療法惹起性末梢神経障害の予防法に関する成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は確立した化学療法惹起性末梢神経障害の治療法の検討、および糖尿病性末梢神経障害のモデル作成を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画と研究の実施の順番を変えたため、一部の経費が必要となるのが、来年度以降となった。
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