研究課題/領域番号 |
16K10989
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研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
寺田 忠徳 産業医科大学, 医学部, 助教 (10399206)
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研究分担者 |
原 幸治 産業医科大学, 大学病院, 准教授 (20331001)
佐多 竹良 産業医科大学, 名誉教授、学長等, 名誉教授 (60128030)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 神経障害性痛 / トランスポーター / 中枢作用 / 鎮痛作用 / 糖尿病モデル |
研究実績の概要 |
膵β細胞を選択的に破壊するストレプトゾトシン100mg/kgを4週齢の雄SDラットに腹腔内投与し、1週間後に血糖値が250mg/dL以上のラットを糖尿病(DM)ラットとした。投与から4週以降に高血糖が持続していたラットを実験に用いた。同じ週齢の無処置SDラットを対照群とした。プランター試験でDMラットは対照群ラットと比較して熱痛覚過敏を示さなかったため、機械的痛覚過敏と冷痛覚過敏に対して薬物の作用を評価した。薬物を脳室内に投与するため、右側脳室に22Gのステンレス製ガイドカニューレを頭頂骨より4.0mm挿入し、固定した。7日後に29Gの注入用カニューレでSNAP5114(GABAトランスポーター3阻害薬)とALX1393(グリシントランスポーター2阻害薬)溶液0.5-20mg/mLを脳室内に10μL投与した。30分後から180分後まで①フォンフライ試験(機械痛覚過敏を評価)、②コールドプレート試験(冷痛覚過敏を評価)を行った。ALX1393は用量依存性に①で痛覚閾値を上昇させ、②で逃避反応潜時を延長したが、①と②における作用はストリキニーネ(グリシン受容体阻害薬)を直前に脳室内投与することにより完全に抑制された。一方、SNAP5114は①②のいずれの試験でも有意な作用が見られなかった。これまでの脳室内投与の結果から、ALX1393はシナプス間隙のグリシン濃度を上昇させ、シナプス後膜のグリシン受容体を活性化させることで神経障害性痛に対して抗痛覚過敏作用を発現させることが示唆された。一方、 DMモデルラットにおいては、GABAトランスポーター3は脳内で鎮痛作用にあまり関与していない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
糖尿病モデル(DM)ラットの作製で高血糖ラットのうち、機械的痛覚過敏や冷痛覚過敏の発現率が低く、薬物効果の判定に多くの実験が必要だった。このためDMラットならびに坐骨神経絞扼モデルラットで予定していた脳内投与での薬物作用を調べる実験を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
脳内投与において特定部位に薬物を正確に投与することが今後の課題である。脳内投与で安定した結果が得られない場合、脳室内投与を行い、不安・うつ状態に対するALX1393、SNAP5114の抗不安・抗うつ作用の有無について、オープンフィールド試験、高架式十字迷路試験、強制水泳試験により行動薬理学的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 試薬と実験動物の購入に所属機関の研究費を用いたことや、今年度は全ての実験装置の修理費用と購入費用が掛からなかったため。 (使用計画) 脳内投与の実験が中心となる。ALX1393の鎮痛作用に関与する部位を同定するほか、不安・抑うつ・記憶・学習関連行動に対する実験を行うため、最終年度はより多くの実験が必要となる。糖尿病性ニューロパチーモデルの作製に必要な試薬は高価で、その飼育期間が2ヶ月程度に及び飼育費を含む実験費用が高くなる。また脳内投与において目的とする特定部位への投与を確認するための組織標本を製作する費用が必要になる。
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