坐骨神経絞扼により神経障害性疼痛モデル(CCI)を作製した。Bennett and Xieの方法により、雄Sprague-Dawleyラットを麻酔下に大腿骨上の皮膚を切開し片側の坐骨神経を4.0-絹糸で4箇所緩く結紮した。処置後4日目から患肢に機械・熱・冷痛覚過敏が出現した。対照には坐骨神経を剥離・露出のみを行うsham手術を施し、痛覚過敏の出現が坐骨神経の結紮によることを確認した。薬物を脳室内に投与するため、右側脳室に22Gのステンレス製ガイドカニューレを頭頂骨より4.0mm挿入し頭部に固定した。不安関連行動に対する作用を検討するため、ALX1393(グリシントランスポーター2:GlyT2阻害薬)25-100μg、SNAP5114(GABAトランスポーター3:GAT3阻害薬)50-200μg、コントロールにはDMSO(25-100%)を29G注入用カニューレで脳室に10μL投与した。投与30分後に①オープンフィールド試験と②高架式十字迷路試験を行った。ビデオトラッキングシステム(ANY-maze ver6.0)を用いて行動解析した。①ではALX1393は高用量でCCIラットの総移動距離を短縮させた。SNAP5114は総移動距離に影響を与えなかった。また、両方とも中央部分(inside zone)の滞在時間に影響を与えなかった。②ではALX1393は高用量で総移動距離を短縮させたがオープンアームの滞在時間に影響を与えなかった。SNAP5114は総移動距離とオープンアームの滞在時間に影響を与えなかった。これらの結果から、ALX1393とSNAP5114は脳室内投与では抗不安作用及び抗うつ作用が発現しないことが示唆された。
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