研究実績の概要 |
1. 腫瘍検体における組織アレイとRNAシークエンスの検討 自施設が中心となって行った『尿路上皮癌における癌関連遺伝子変異に関する多施設共同前向き研究』として収集された腫瘍検体の組織アレイの免疫染色ならびにRNAシークエンスの結果を検証した。①FGFR3変異と免疫環境との関連性の評価: FGFR3変異陽性例でCD8Aの発現および腫瘍内CD8陽性T細胞数は低くCD274の発現も低い傾向を示した。②FGF-FGFRシグナル活性化別の腫瘍内免疫環境の評価:FGF ligandおよびFGF受容体 subtypeの発現とFGFR3変異との関連を評価した。FGF ligand subtypeとFGFR3変異例との間に関連性は認めなかった。FGF受容体subtype別ではFGFR3変異陽性例ではFGFR3の発現値が高く、FGFR1,4は低かった。膀胱癌でよく検討されているFGFR1およびFGFR3に着目し検討した。FGFR1の高発現例では腫瘍内CD8およびCD274発現が高い傾向を示しFGFR3変異陽性例と正反対の性格を示した。③BCG抵抗性検体を用いた免疫染色による腫瘍免疫環境の検討:BCG抵抗性症例の組織アレイをPD-1, PD-L1, CD4+,CD8+,Foxp3+,CTLA-4の抗体を用いて免疫染色を行った。現在免疫染色の結果とRNAシークエンスの結果から膀胱癌におけるドライバー遺伝子変異の有無と免疫環境に関わる遺伝子発現との関連を検討中である。 2. BCG抵抗性に関わる免疫環境や遺伝子変異の同定 筑波大学附属病院にて2010年から2016年までに筋層非浸潤性膀胱癌に対してBCG療法を施行した症例のうち再発もしくは進展をきたした30症例を用いてBCG施行前後の組織のPD-L1の染色を行った。現在BCG前後でのPD-L1の発現の差異ならびに再発期間とPD-L1の発現関連について検討中である。
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