研究課題
がん治療用ウイルスG47Δは、遺伝子組換えヘルペスウイルス1型であり、多くの固形癌に対する抗腫瘍効果が証明されており、去勢抵抗性前立腺癌に対する臨床試験が現在進行中である。一方、樹状細胞療法は主要な免疫療法の1つで、がん治療用ウイルスとの併用も有望であるが、個々の患者から採血して樹状細胞を回収する過程に手間とコストがかかる点がネックであった。しかし、近年のiPS細胞技術の進歩により、大量培養・ストック化が可能であることが示唆されている。以上の背景から、今回ウイルス療法とiPS細胞由来樹状細胞(iPSDC)の併用療法について、マウス膀胱癌モデルを用いて検討した。G47Δを基本骨格として、マウスIL-12を分泌しうるT-mfIL12を用いた。また、マウス線維芽細胞由来iPS細胞株からiPSDCを作成し、機能評価実験(形態/抗原取込み能/共刺激分子発現/Tリンパ球との共培養)を行った。さらに、マウス膀胱癌細胞株MB49を用いた皮下腫瘍モデルを確立した。day 0 & 5にT-mfIL12を、day 2にマウス大腿骨から採取した通常の樹状細胞、あるいはiPSDCをそれぞれ腫瘍内投与して抗腫瘍効果を検討した。形態・機能の両面で、iPSDCは通常の樹状細胞と遜色ない特徴を持つことが示された。T-mfIL12+通常の樹状細胞群およびT-mfIL12+iPSDC群は同等の腫瘍抑制効果を認め、それぞれ単独群と比較すると有意な抗腫瘍効果を認めた。ELISpotでも同レベルのIFN-γ放出細胞数の増加を認めた。
2: おおむね順調に進展している
平成28年度に、動物実験にて、T-mfIL12+iPS-DC併用群がT-mfIL12+骨髄由来樹状細胞併用群に対して非劣性であることを示した。平成29年度では、T-mfIL12+骨髄由来樹状細胞について、機序の検討を行った。具体的には、腫瘍体積測定と同様の動物実験を行い、day 15で各群の脾臓および腫瘍を採取し、脾臓からはリンパ球を単離し、ELISPOT assayおよびCTL assayにて樹状細胞による宿主の免疫賦活効果を評価した。なお、予備実験では、ELISPOT assayの評価のみ既に終了しているが、ウイルスと樹状細胞の併用群では有意にIFN-γ産生リンパ球数が多く、T-mfIL12+樹状細胞併用群で最も多くなるという結果であった。平成30年度には、機序の検討の続きとして、腫瘍をホルマリン or 凍結ブロックにして、免疫染色(マウスCD4・CD8)による評価を行った。なお、iPS-DCsは、すべて成育医療センター移植免疫研究室にて作成している。また、iPS-DCsが樹状細胞としての性質を有しているかが重要となるため、形態、分子発現、抗原提示能などの評価も行った。想定通りの結果であったが、樹状細胞としての性質を有しているかについて、再現性の実験が必要であると考えられたため。
PS-DCsが樹状細胞としての性質を有しているかが重要となるため、形態、分子発現、抗原提示能などの評価について、再現性の実験を追加する。
PS-DCsが樹状細胞としての性質を有しているかが重要となるため、形態、分子発現、抗原提示能などの評価について、再現性の実験を追加する。平成30年度の試薬使用代が想定よりも少なくて済んだため、平成31年度の使用額が生じた。 未使用額の使途として、実験に使用する試薬代等にあてる。
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すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 14件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件)
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