研究課題/領域番号 |
16K11006
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
林 哲太郎 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 助教 (60612835)
|
研究分担者 |
松原 昭郎 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (10239064)
亭島 淳 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 准教授 (20397962)
仲 一仁 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (70372688)
神明 俊輔 広島大学, 病院(医), 助教 (70749936)
井上 省吾 広島大学, 病院(医), 講師 (90457177)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 抗がん剤耐性 |
研究実績の概要 |
抗がん剤耐性膀胱癌の機序を明らかにするために、抗がん剤感受性膀胱癌細胞株から樹立したシスプラチンとゲムシタビン耐性株を用いて、遺伝子発現解析を行った。シスプラチンとゲムシタビン耐性株で感受性株と比較して、IFN/STAT1シグナルの遺伝子の高発現が認められた。STAT1の発現抑制を耐性株で行うと、発現が上昇していたIFITM1, IFI27, IFI44L, IFI6, IFITM1, IFIT1、OSA2などのSTAT1下流遺伝子の発現は減少することから、耐性株でのSTAT1シグナル亢進が確認された。次に、耐性株のSTAT1発現抑制による細胞増殖能を調べると、STAT1発現抑制は細胞増殖能を亢進させ、細胞周期解析でもG1期減少とS期増加を認めた。細胞周期関連蛋白質を調べると、STAT1発現抑制によってp27の発現低下を認めた。耐性株においてSTAT1シグナル亢進は、細胞周期抑制に働くことが明らかとなった。一方で、シスプラチンもしくはゲムシタビン投与下で耐性株のSTAT1発現抑制を行うと、細胞増殖能は有意に抑制され、アポトーシスが増加する結果であった。STAT1シグナルは抗がん剤耐性膀胱癌で亢進し、細胞周期の抑制によって抗がん剤耐性獲得に関与する。一方で、抗がん剤併用でのSTAT1発現抑制は抗がん剤感受性を回復させることから、抗がん剤とSTAT1抑制の併用療法は抗がん剤耐性を克服する新規治療法となる可能性があると考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
抗がん剤耐性にIFN/STAT1シグナルが関与することを証明し、その機序の一部を解明した。
|
今後の研究の推進方策 |
IFN/STAT1シグナルと抗がん剤感受性を臨床検体を用いて明らかにする。
|