研究課題/領域番号 |
16K11009
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
田岡 利宜也 香川大学, 医学部, 助教 (10403784)
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研究分担者 |
筧 善行 香川大学, 医学部, 教授 (20214273)
杉元 幹史 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (10243768)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / Specificity protein / 抗癌剤 |
研究実績の概要 |
本研究はオルファン型核内レセプターNR4A1 の新規リガンドであるC-DIMsの膀胱癌治療への応用を目指している。しかし、C-DIMsの十分な供給が得られない状況が続いており、C-DIMsを用いた研究は進行していない。 そのため、補完研究として、C-DIMsと同様にSp(Specificity protein)を抑制することで抗腫瘍効果を発揮すると考えられるCF3DODA-Me(Methyl 2-trifluoromethyl-3,11-dioxo-18β-olean-1,12-dien-30-oate)を用いた実験を行っており、我々は膀胱癌細胞を対象として、CF3DODA-MeがSpを介して抗腫瘍効果を発揮することを確認した。その具体的な研究実績は、1)CF3DODA-Meが膀胱癌細胞に対して、濃度依存性、そして時間依存性に抗腫瘍効果を発揮することを確認するとともに(MTT assay、およびPI-FACSによるDNA fragmentationとWestern blotによるactive caspase-3の検出)、2)CF3DODA-MeがSpの発現抑制を介して膀胱癌細胞に対する抗腫瘍効果を発揮するメカニズムをsiRNAを用いたSp発現阻害実験にて証明した。3)さらに、CF3DODA-MeがROS(reactive oxygen species)の産生を介してSp抑制作用を発揮する可能性をつきとめ、4)CF3DODA-MeによるROS産生を、グルタチオンの共培養で阻害することで、CF3DODA-MeのSp発現低下やアポトーシス経路の活性化作用は打ち消されることを証明した。よって、CF3DODA-Meが膀胱癌細胞でROSの産生を誘導し、それに続くSp発現抑制を介して、最終的に抗腫瘍効果を発揮するメカニズムを証明できたと考えている。尚、このCF3DODA-Meは、甘草の主成分であるグリチルリチンより合成された新規化合物で、C-DIMs提供元のA&M大学より提供された。今後、in vivo実験に移行する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はオルファン型核内レセプターNR4A1 の新規リガンドであるC-DIMsの膀胱癌治療への応用を目指している。しかし、C-DIMsの十分な供給が得られない状況で、C-DIMsを用いた研究は進行していない。一方で、CF3DODA-Meを用いて、膀胱癌細胞に対するSpecificity proteinの治療ターゲットとしての有用性を証明できている。この基礎実験結果は今後予定されるC-DIMsを用いた実験のきわめて重要な結果、かつ経験となるほか、CF3DODA-Meを用いた実験の結果は非常に有用な結果であり近日報告予定である。
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今後の研究の推進方策 |
C-DIMs合成作業の問題で本実験の進行は遅れているが、同様の作用を有すると考えられるCF3DODA-Meの実験を並行することで対応する。C-DIMsが十分量合成できたのちに実験を再開するが、CF3DODA-Meで培った経験が活かせると考えており、研究の遅れと考えていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、供給されるべき新規化合物であるC-DIMsが譲渡されず、代替研究で対応した。その代替研究にて本研究は着実に進んでいるが、予定していた研究の一部は施行することができず、それに伴い研究費は使用できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、C-DIMsが供給されるとともに、その研究は進行させる予定で、研究に係る直接経費は必要となる。初年度の繰越金も含めて研究実行に使用する予定である。
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