研究課題/領域番号 |
16K11018
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
石橋 啓 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (90347211)
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研究分担者 |
柳田 知彦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (20363765)
羽賀 宣博 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (50586617)
小島 祥敬 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (60305539)
相川 健 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80295419)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腎癌 / サイトカイン / TRAIL |
研究実績の概要 |
現在進行性腎細胞癌における治療はVEGF等を標的とした分子標的薬が主流となっているが、本邦では肺転移のみの症例にはIFN-αを主体としたサイトカイン療法も選択される。しかしサイトカイン療法に対して感受性を示すのはおおよそ15~20%程度で有り、治療に抵抗性を示す症例が多いのも事実である。IFN-αによる抗腫瘍メカニズムの一つにはNK細胞などの免疫細胞の活性化が挙げられる。これまで我々は腎細胞癌におけるIFN-α抵抗性のメカニズムとしてIL-6により誘導されるSOCS3の関与について報告してきた。そこで、本研究では腎細胞癌のTRAIL受容体の発現にSOCS3が関与するか否かを解析し、さらにSOCS3の発現抑制によるTRAIL抵抗性の解除を試みた。 腎癌細胞株を用いた研究では、IFN-α抵抗性株の786-OとIFN-α感受性株のACHNは、それぞれTRAILに対しても同様に抵抗性、感受性であることがわかった。TRAIL受容体およびSOCS3の発現レベルの比較において、TRAIL感受性株のACHNではDR4が高発現し、TRAIL抵抗性株の786-OではSOCS3が高発現していた。また、DR4、SOCS3ともIFN刺激により高発現することが判明した。ACHNにSOCS3を強制発現させるとIFN刺激によるDR4の発現が抑制されTRAILに対して抵抗性を示すようになり、786-OのSOCS3発現を抑制するとIFN刺激時にDR4が高発現しTRAILに感受性を示すようになった。 これまでの研究結果から、腎癌細胞はIFNから誘導されるSOCS3がTRAIL受容体発現をコントロールしていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎癌細胞株におけるTRAIL受容体発現コントロールメカニズムについては、遺伝子発現および蛋白発現解析ともに順調に解析が進んでおり、その結果、研究開始前に予測したものとほぼ一致していた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ヌードマウス皮下移植モデルを使用して、in vivoモデルにおけるIFNとSOCS3、TRAIL発現の相関を解析する。この研究においては可溶性TRAILの入手が課題となる。遺伝子組み換え型か、もしくはmapatumumabが入手可能であればこちらの方が大量に使用できる可能性が有り、販売元を検索する。 さらに、腎癌におけるPD-L1発現メカニズムも同様に解析していく予定。この場合、in vivoの実験系では、細胞性免疫能も必要になるため、ヌードマウスではなく、通常のBALB/C系統を用いることとなるが、その場合にはヒト腎癌細胞株ではなく、マウス腎癌細胞RENCAを使用する予定とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
一般的な消耗品が購入できない端数が余った。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品、オリゴDNAなどの購入費
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