研究課題
IFN-αによる抗腫瘍メカニズムの一つにNK細胞の活性化が挙げられるが、活性化されたNK細胞による抗腫瘍作用に重要な役割を担っているのがTRAILである。このTRAILに対して抵抗性を示す腎癌細胞株786-OにおいてSOCS3 siRNAを導入したところ、IFN刺激時のSOCS3発現が抑制され細胞増殖試験でもTRAILに対する感受性が回復した。逆にTRAIL感受性の腎癌細胞株ACHNにSOCS3を強制発現させると、TRAILに対し抵抗性を獲得した。TRAIL受容体に着目すると、IFN刺激によってDR4のmRNAは高発現するが、蛋白レベルではSOCS3によってdown-regulateされることが示された。これらのことは、SOCS3がTRAIL受容体の発現を制御し、TRAIL感受性を左右する因子の一つであることを証明する結果であった。しかしTRAIL感受性の回復にはSOCS3抑制だけでは不十分であり、IFN-α刺激によるDR4発現が必要であった。一方、腎癌におけるPD-L1発現について786-O株、ACHN株に対して分子標的薬Sunitinib、IFN-α、IFN-γ、IL-2、mTOR阻害剤によるPD-L1、PD-L2のmRNA発現をreal time PCRにて定量解析した。その結果、786-O株においては、Sunitinib、IFNα刺激後48時間で、PD-L1、PD-L2を含めた遺伝子発現の2~3倍の発現強化を認めた。一方、ACHN株においてはIFNα刺激後4時間で、PD-L1遺伝子発現のup-regulationを認めた。IFNγでのPD-L1,PD-L2発現は24時間以降に特に強く認められた。Western Blotにて、IFNγによってSTAT1が強くリン酸化しておち、PD-L1発現にSTAT1が関係している可能性が示唆された。
すべて 2018
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Oncotarget.
巻: Aug 3;9(60) ページ: 31697-31708.
10.18632