研究課題
我々はグルコースの組織への集積を画像として描出するFDG PET/CT によって腎細胞癌の分子標的治療薬に対する反応をリアルタイムに評価できることを明らかにしてきた。更にFDG PET/CT 評価と同時に採取した血液検体をプロテオミクス解析し、FDG PET/CT 評価と相関する変化を示す血中蛋白を数10 種類同定した。そこで、これらの蛋白から①薬物療法の効果を判定する新規腎細胞癌バイオマーカーを同定するとともに、②治療に抵抗を示す際に血中濃度が上昇する蛋白に注目し、その機能を解析することで腎癌の分子標的治療薬に対する抵抗性獲得メカニズムを明らかにし、分子標的治療薬に抵抗性を示す腎細胞癌に対する新たな治療法を開発したいと考えている。平成28年度は血液検体を用いたプロテオミクス解析によって薬物効果判定を目的とした血液バイオマーカーとなりうる候補蛋白の中から比較的腎癌組織に特異的に高発現していると考えられる2種を選択しELISA法による同蛋白の血中濃度の測定法を確立した。そこで、子の測定法を用いてプロテオミクス解析の結果を検証するとともに少数例ではあるが薬物療法を受けている腎癌患者の血液検体を用いてバイオマーカーとしての有用性について検討を開始した。また、治療に抵抗性を示すと同時に血中濃度が上昇する数種の蛋白のヒト腎癌組織におけるmRNAレベルでの発現をRT-PCR によって解析した。そのうち発現が確認された蛋白を1種選択し、既に樹立されている腎癌細胞においてこの蛋白の発現を一時的に抑制する実験モデルを確立した。
3: やや遅れている
当初平成28年度に開始を想定していたバイオマーカー候補蛋白の臨床的有用性を前向きに検討する多施設共同試験は施設間の連携に時間がかかり倫理委員会への申請が遅れている。
当初平成28年度に開始を想定していたバイオマーカー候補蛋白の有用性を前向きに検討する多施設共同試験は平成29年度での開始を予定している。薬物治療に対する抵抗性獲得に関与すると予想される蛋白の発現を一時的に抑制する細胞モデルが確立できたため、今後はこれを用いて蛋白の機能解析を進めていく。
消耗品である試薬が想定していた金額よりも安価であったため
29年度に施行する実験の消耗品に充てる
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件)
BMC Cancer.
巻: 17 ページ: 39
10.1186/s12885-016-3044-0
Cancer Chemother Pharmacol
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