研究実績の概要 |
1.膀胱癌細胞株であるT24,MG-Hu3細胞株にクエン酸第一鉄ナトリウムを投与し、細胞増殖を評価した。T24細胞株では、0.3mM以上で優位に細胞の増殖が促進されており、MG-Hu3では促進は認められなかった。2. 活性酸素をクエン酸第一鉄ナトリウム0.5mMで測定すると、T24では活性酸素の上昇は認められず、MG-Hu3では活性酸素の上昇が認められた。3.鉄利用において、ヘム合成経路における酵素のRNA発現をreal time PCRで評価した。(PEPT1,PEPT2,ALAF,HMBS,UROS,UROD,ABCG2,ABCG6,PPⅨ0,FECH,HO-1,BLVCR,ALAS1,COPX,FXN) HO-1の発現が鉄投与により、大きく変化していた。その他の酵素の発現の変化は小さかった。鉄投与により、T24でHO-1の発現は5倍に変化していたが、MG-Hu3では変化は小さかった。4.HO-1のinhibitor (ZnPPⅨ)による影響を検討した。T24では鉄とinhibitor投与により、T24の鉄投与のみ投与で見られた細胞増殖は認められなくなった。MG-Hu3ではinhibitorによる細胞増殖の減少は認められなかった。 以上から、鉄投与により、癌細胞にHO-1が発現し、活性酸素の発生が抑制され、細胞増殖につながることが予測された。 さらに、ヌードマウスに皮下腫瘍モデルを作成し、鉄投与の影響を検討した。細胞株はUMUC3を用いた。鉄投与により、皮下腫瘍は大きくなったが有意差は認めなかった(大きさ:鉄投与 147mm2 (36-246)対コントロール 197mm2(174-212),重さ:鉄投与 0.62 g (0.04-1.48)対コントロール 0.78g (0.47-1.07))
|