研究実績の概要 |
本研究の目的は、化学療法前後の腫瘍に発現している薬学的バイオマーカーの動態を解析し、筋層浸潤性膀胱癌患者におけるGC療法を用いた術前化学療法における薬学的バイオマーカー候補物質の有用性を検証することである。これまで我々は、ゲムシタビンに対する有力なバイオマーカーの候補物質の一つとしてhENT1がゲムシタビンに対する強力なpositive regulatory proteinである可能性を報告してきた。これらの知見をさらに発展させるためには、複数のバイオマーカーの発現を組み合わせて解析することが必要である。本研究の初年度である平成28年度については、他の有力な薬学的バイオマーカーを同定することを目的とした研究を実施した。我々が 着目したバイオマーカーはゲムシタビンのバイオマーカーとしてRRM1およびシスプラチンのバイオマーカーとしてERCC 1である。当院においてGC療法を施行した進行性膀胱癌患者の化学療法前の膀胱癌組織に発現しているRRM1とERCC1について免疫組織染色法を用いて評価し各種臨床病理学的因子との関連を解析した。本内容について下記論文に報告した。Overexpression of ribonucleotide reductase subunit M1 protein predicts shorter survival in metastatic bladder cancer p atients treated with gemcitabine-containing combination chemotherapy. Matsumura N, Nakamura Y, Kohjimoto Y, Nishizawa S, Kikkawa K, Iba A, Kodama Y, Hara I. Int J Urol. 2017 Mar; 24(3):230-235.現在、前向き臨床研究の登録症例のエントリ-を継続中である。
|