腎癌における遺伝子変異・遺伝子発現を基にした治療体系確立への基礎研究

2018 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 16K11035
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 配分区分: 基金
• 応募区分: 一般
• 研究分野: 泌尿器科学
• 研究機関: 公益財団法人がん研究会
• 研究代表者: 湯浅 健 公益財団法人がん研究会, 有明病院 泌尿器科, 副部長 (00314162)
• 研究協力者: 米瀬 淳二 ; 石川 雄一 ; 礒野 高敬
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2019-03-31
• キーワード: 腎癌 / 分子標的治療 / 予後因子

研究成果の概要

現在の転移性腎細胞癌に対する治療の主軸のひとつは血管新生阻害による分子標的治療であり、その効果の一つにglucose deprivationがある。我々はglucose deprivation抵抗性細胞株と感受性細胞株との比較から、抵抗性細胞株は、優良なミトコンドリア機能を有し、原因の一つとしてROSの分解酵素のひとつSOD2の発現が高くROSが低下し、治療抵抗性を示す可能性を示した。さらにHIF-2およびそのnetworkがglucose deprivation耐性に関連していることが示し、腎癌原発巣のトランスクリプトーム解析から、ARL4C高発現症例は予後不良であることを示した。

自由記述の分野

泌尿器腫瘍学

研究成果の学術的意義や社会的意義

転移性腎細胞癌に対して、血管新生阻害剤治療時においてHIF-2(hypoxia inducible factor)シグナルによる治療耐性をあきらかにし、新規の予後不良遺伝子ADP-ribosylation factor-like 4Cを同定することによって将来的に新たな治療戦略の基礎になる可能性がある。さらにInternational Metastatic renal cell cancer database Consortium (IMDC)国際共同研究は後方視的研究ではあるが、現時点の実臨床における様々な問題点を解決するヒントになっていると思う。