研究課題/領域番号 |
16K11038
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
松本 成史 旭川医科大学, 大学病院, 准教授 (10288912)
|
研究分担者 |
竹内 康人 旭川医科大学, 医学部, 客員教授 (20315394)
工藤 信樹 北海道大学, 情報科学研究科, 准教授 (30271638)
原 量宏 香川大学, 瀬戸内圏研究センター, 特任教授 (20010415)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | テレメーター発信機 / 発振回路 / 圧センサ / 変位センサ / 可変インダクタンスコイル / 超音波結合 / 磁束結合 / ソフトシリコーン |
研究実績の概要 |
(1)先年度までの研究によるハイブリッド集積化された発振コイル外付けの発振回路と、各種方式による圧センサないし変位センサ用の可変インダクタンスコイルの組み合わせ構造物とを外径6mm軸長12mのカプセル内に収容して電気的な統合機能試験を行った。結果として電気的機械的には所期の動作が得られた。代表的な施策例ではカプセル内での電力消費の概要は1.5Vx6μA程度、発信(発振)周波数は大略1.9MHzで、同調ループアンテナ形式の直径20cmほどのサーチコイルと通信計測用短波帯受信機の受信帯域幅3KHzのCWおよびSSBモードにより大略50cmまでS/N比10dB以上にて受信できた。ただしこの実験では使用したカプセルは封じ切り構造ではあるが硬い壁の物であり、以前のテフロンベローズでの実験のようにカプセル自身が内外差圧により変形する物ではない。この設計を内外差圧により変形するカプセルまたはコイルボビンにて実装する事は容易であるとの感触を得た。 (2)先年度までの研究による発振回路を持たないパッシブなLC共振回路に絶対圧応答性を持たせた構造のさらなる発展形として、硬い壁のカプセルに代えてRTVソフトシリコーンでモールドされた軟らかい中空の略長円型カプセルを設計、試作した。システムの観測周波数は1MHz、当該LC共振回路には励起を受けるための直径10mmの超音波振動子が結合されてる。これにより水中にて超音波平面波を受け入れる事による遠隔励起および共振回路を成すインダクタンスからの漏洩時速を水面外で磁束結合により受診する遠隔センスにより約10cmの距離からその共振応答を観測し、その共振周波数の圧依存性が実用レベルで得られる事を確認した。この試作デバイスの外径、軸長はともに10mmと目標よりかなり大きいが、この寸法は採用した超音波振動子の大きさで決まっており、目標の6mmに再設計する事は容易であるとの感触を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)先年度までの研究によるハイブリッド集積化された発振コイル外付けの発振回路と、各種方式による可変インダクタンスコイルの組み合わせ構造物とを外径6mm軸長12mmのカプセル内に収容して電気的な統合機能試験を行った。結果として電気的機械的には所期の動作が得られたが、消費電力過剰およびカプセル内に収容するために採用出来る1次電池として期待の寸法の物が採用困難である事の2つの問題点がある事が判明した。消費電力過剰の問題は、ディスクリートパーツによる原始設計を表面実装部品による設計に変換した時の不注意による物である事が判明している。 (2)上記の発振コイル外付けの発振回路のハイブリッド集積回路の製作、実装を発注していた外注業者が廃業してしまったので、この集積回路の再設計、再製作に関しては手戻りがあった状態である。 (3)先年度までの研究による発振回路を持たないパッシブなLC共振回路に絶対圧応答性を持たせた構造のさらなる発展形として、硬い壁のカプセルに代えてRTVソフトシリコーンでモールドされた軟らかい中空略長円型カプセルを設計、試作し、超音波結合および電磁結合によるドライブとセンスにより約10cmの距離からその応答を観測し、その共振周波数の圧依存性が実用レベルで得られる事を確認した。が、この中空ソフトシリコーンカプセルの安定確実な再現性ある製作手法の確立は今後の課題である。 (4)実用上の見地から電池と発振回路込みのアクティブなカプセルテレメーターが好ましいか、または電源や発振回路なしの感圧性の共振回路のみから成るパッシブテレメーターが好ましいかは、結論を得ていない。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)電池と発振回路込みのアクティブなカプセルテレメーター発信器に関しては、採用出来る電池が決まり、発振回路のハイブリッド集積回路の再設計、再制作が出来ればIn Vivo実験に取り組む事が出来ると見込まれるので、そのような方向で実験実行可能なデバイスおよびシステムの構築を行う。 (2)電源や発振回路なしの感圧性の共振回路のみから成るパッシブなテレメーター発信器に関しては、さらなる試作と評価実験を行う。特に中空ソフトシリコーンカプセルに関しては安定した再現性の良い製造方法を開発する。 (3)上記を踏まえて電池と発振回路込みのアクティブなカプセルテレメーターが好ましいか、または電源や発振回路なしの感圧性の共振回路のみから成るパッシブテレメーターが好ましいかについて結論を得る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本研究の維持に重要な構成要素である発振コイル外付けの発振回路のハイブリッド集積回路を外注していた業者が突然廃業してしまったため、他の業者に転嫁し、またより消費電力の少ない回路構成により再設計、再制作する過程で年度を超過した物である。尚、このハイブリッド集積回路は再利用は不可能で1回の実験試作ごとに使い捨てしなければならないので、相応の数量が必要である。
|