研究実績の概要 |
1.下部尿路閉塞(BOO)による過活動膀胱(OAB)雄性ラットモデルを用いて、in vivo膀胱求心性神経活動測定を行い、その膀胱求心性神経活動の特徴を解析した。その結果、BOOラットにおいて、膀胱伸展刺激受容求心性神経活動(SAA)は、Adelta線維の活動が低下しており、かつ、膀胱の微小収縮(microcontraction)に同期して、Adelta線維、C線維ともに間欠的にその活動性が増強することが確認できた(雑誌論文 Aizawa N, et al, Sci Rep 2017)。 2.さらに、BOO/OABモデルラットに選択的α1A阻害薬であるsilodosinを慢性投与すると、膀胱の微小収縮を抑制し、同時に微小収縮に伴う両線維の活動性の増強も抑制することを明らかにした(雑誌論文 Aizawa N, et al, Neurourol Urodyn 2018)。 3.選択的TRPM8阻害薬であるKPR-2579は、低体温を誘発しない用量で、酢酸膀胱内注入によって誘発される膀胱伸展刺激受容C線維の病的活動亢進を抑制しうることを明らかにし、選択的TRPM8阻害薬が、膀胱知覚過敏に対する治療薬の候補となることを示した(雑誌論文 Aizawa N, et al, Neurourol Urodyn 2018)。 4.ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)患者の膀胱粘膜生検標本では、Toll-like receptor 7 (TLR7) の発現が増強していることを明らかにし、TLR7刺激薬である Loxoribineをマウスの膀胱内に注入すると、膀胱炎とそれに伴う頻尿・膀胱痛様行動が惹起され、TLR7拮抗薬である Hydroxychloroquine を前投与するとこれらの反応は抑制されることを示した。TLR7拮抗薬はHICの新規治療薬候補として期待しうることを示した(雑誌論文 Ichihara K, et al, Pain 2017)。
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