研究課題/領域番号 |
16K11039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井川 靖彦 東京大学, 医学部附属病院, 特任教授 (40159588)
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研究分担者 |
本間 之夫 東京大学, 医学部附属病院, 登録診療員 (40165626)
宮嵜 英世 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 診療科長 (80323666)
相澤 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 特任講師 (80595257)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膀胱 / 知覚 / TRP チャネル / 過活動膀胱 / 間質性膀胱炎 |
研究実績の概要 |
膀胱機能障害の新規治療標的の探索・同定を目指して、膀胱知覚受容に関与する受容体の役割と各種病態における変化の解明を試み、主に以下に挙げる成果を得た。 1.下部尿路閉塞による過活動膀胱雄性ラットモデルでは、膀胱の微小収縮に同期して、膀胱伸展刺激受容知覚神経のうち、Adelta線維、C線維ともに間欠的にその活動性が増強することを確認した。さらに、同モデルラットに選択的α1A阻害薬silodosinを慢性投与すると、膀胱微小収縮に伴う両線維の活動性の増強を抑制しうることを明らかにした。 2.TRPA1ノックアウト(KO)マウスおよびTRPM2KOマウスを用いて膀胱機能解析を行ったところ、両KOマウスは共に対照群と比べて膀胱機能に変化を認めなかった。一方、lipopolysaccharide膀胱内注入によって膀胱炎を惹起させると、いずれのKOマウスも、対照群と比べて、頻尿や膀胱痛様行動が誘発されにくく、加えて、TRPM2KOマウスでは膀胱炎症所見も軽微であった。以上から、TRPM2は炎症発現に、TRPA1は炎症性知覚過敏に関与することが示唆された。 3.選択的TRPM8阻害薬は、低体温を誘発しない用量で、酢酸またはPGE2の膀胱内注入によって誘発される頻尿および膀胱伸展刺激受容C線維の病的活動亢進を抑制しうることを明らかにし、選択的TRPM8阻害薬が、膀胱知覚過敏に対する治療薬の候補となることを示した。 4.ハンナ型間質性膀胱炎(HIC)患者の膀胱粘膜生検標本では、Toll-like receptor 7 (TLR7) の発現が増強しており、TLR7刺激薬をマウスの膀胱内に注入すると、膀胱炎とそれに伴う頻尿・膀胱痛様行動が惹起され、TLR7拮抗薬を前投与するとこれらの反応は抑制されることを示した。TLR7拮抗薬はHICの新規治療薬候補として期待しうることを示した。
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