研究課題
1)陰茎癌におけるHPV感染率の調査は、昨年度から引き続き、症例数を34例まで収集した。パラフィン切片からDNAを採取し、HPV-DNAの検出率および型判定を実施したところ、HPV検出率は41%(14例)であり、そのうち12例(35%)はhigh-risk (HR)HPVであった。In situ hybridization(ISH)を用いて腫瘍組織内のHPV-DNAの局在を観察したところ、12例のHR-HPV陽性検体すべてで、腫瘍細胞の核内にHPV-DNAシグナルを確認し。さらにHPVのpncogenic domainであるE7のマーカーであるp16-INK4a, mcm-7の発現状況を免疫組織化学(IHC)を用いて調査したところ、HR-HPV陽性の8例(67%)で発現を認め、HPV陰性検体に比べて発現頻度は高かった。一方、mcm-7については、28例に発現を認め、HPV陽性・陰性例で発現頻度に差はなく、意義は見いだせなかった。さらに、HPV-L1の発現はすべての症例で認めなかった。これらの結果から日本人陰茎癌患者の41%からHPVが検出され、ISHおよびIHCによって得られた結果は、HPV感染が陰茎癌の発症に関連している可能性を裏付けた。本内容はInternational journal of infectious diseaseに掲載された。2)さらに尿路上皮癌とHPV感染との関連性を調査するため、尿路上皮患者67症例の膀胱洗浄液におけるHPV検出率を調査した。総HPV検出率は9.0%(6例)でありHR-HPV検出率は6.0%(4例であった)。症例数を増やすとともに、細胞診・腫瘍検体を含めた検討を予定している。3)前立腺癌パラフィン切片を用いたHPV検査を開始した。現在30例を実施したもののHPV陽性症例は見いだせていない。さらに症例数を増やして検討予定である。
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