研究課題/領域番号 |
16K11041
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
青木 芳隆 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (30273006)
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研究分担者 |
横山 修 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (90242552)
日下 幸則 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (70135680) [辞退]
松田 陽介 福井大学, 学術研究院医学系部門(附属病院部), 講師 (90345687)
岡田 昌裕 福井大学, 医学部附属病院, その他 (40572441)
松本 智恵子 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (80377043)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生活習慣病 / メタボリック症候群 / 尿意切迫感 / 夜間多尿 / 夜間頻尿 / 下部尿路症状 |
研究実績の概要 |
夜間頻尿は、尿意切迫感を必須症状とする過活動膀胱に伴っていることも多い。実際に、住民健診において我々が調査し、作成したデータベースをもとに調べてみると、両者は併存するものは比較的多いことがわかった。 そこで、過活動膀胱と関連する既知の疾患との関係を調べた。2015年の健診受診者、男性 5,313人、女性 7,165人を対象に、過活動膀胱の必須症状である尿意切迫感の有無について質問票にて調査し、年齢、高血圧、高血糖、肥満との関係、またメタボリック症候群との関係について調べた。なお診断基準としては、我が国におけるメタボリック症候群の診断基準を用いた。統計解析には、ロジスティック回帰分析を用いた多変量解析も行った。 その結果、加齢、高血圧、高血糖、肥満はそれぞれ過活動膀胱と関連した。多変量解析でも、年齢、肥満が男女とも関連し、さらには女性のみにおいて高血糖が独立した関連因子であることがわかった。またメタボリック症候群が存在すると、過活動膀胱を有する可能性も高くなることがわかった。そのオッズ比は、男性1.22, 女性1.49であった(年齢調整後)。 これまで、過活動膀胱とメタボリック症候群の関係については、肯定的な報告と否定的な報告とがあり、一定の見解が得られていないが、今回の我々の大規模な調査結果からは、その関連性が見出された。そしてこのことから、夜間頻尿のみならず、過活動膀胱症状も、基礎疾患の発見マーカーとして有用となる可能性が示唆され、夜間頻尿とあわせて、縦断的解析を行うことが重要であると考えられた。なお、これらの結果は、国際禁制学会(平成29年)などにて報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
解析結果から、糖尿病との関連性について掘り下げて行う必要性が出てきたため、進捗としてはやや遅れていると言わざるを得ない。 また、データのクリーンアップ作業が遅れており、予定した年数よりもやや短い期間でのデータまでが解析可能な状況である。
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今後の研究の推進方策 |
住民検診で調査し作成したデータベースをもとに、夜間頻尿およびそれに付随することの多い過活動膀胱症状と、基礎疾患およびメタボリック症候群との関係が横断的研究でわかった。今後は縦断的調査結果をもとに、各疾患の発症の早い段階において既に夜間頻尿あるいは過活動膀胱症状が出現しているのかどうかを、統計学的手法を用いて解明していく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、平成 29 年度計画では、夜間頻尿とメタボリック症候群を含む関連疾患の縦断解析の解明を行うにあたり、統計解析を進めて行く予定であった。しかし、研究過程において、夜間頻尿と関連のある過活動膀胱症状の関連が強く示唆され、それが新たに得られた知見となった。このため、本研究目的を遂行するにあたり、本研究分担者と協議した結果、当初計画に加え、過活動膀胱の関連性を夜間頻尿の有無などうぃ考慮して詳細に検討する必要があると判断した。なお、詳細な解析および分担者との協議を終えたのが、平成29年3月中旬であり、繰越申請に間に合わなかったため、今回申請を行う。
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