研究課題/領域番号 |
16K11046
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
後藤 百万 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10186900)
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研究分担者 |
山本 徳則 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (20182636)
舟橋 康人 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (70534824)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 再生治療 / 脂肪由来再生細胞 / 尿失禁 / 尿道括約筋障害 |
研究実績の概要 |
CelutionTM systemで分離したヒト脂肪由来再生細胞(ADRCs)、ヒト前立腺癌細胞株、及びADRCsとヒト前立腺癌細胞株の細胞比1対1での混合培養で、それぞれ上清のPSA産生量を比較検討したところ、ADRCs上清にはPSAは検出されず、ヒト前立腺癌細胞株培養とヒト前立腺癌細胞株・ADRC混合培養上清中のPSAを比較すると、混合培養上清での上昇は認めず、むしろ前立腺癌株単独培養上清中PSAに比べて低下傾向を示した。さらにADRCsとPSA産生能を持つLNCaP細胞混合培養(48時間)時の細胞形態的変化を位相差顕微鏡で観察したところ、LNCaP周辺をADSCsが取り囲みLNCaP増殖の抑制が示唆され、前立腺癌細胞増殖促進の所見は見られなかった。 LNCaPを市販のヒトADRCs(インビトロジェン社)、およびCelutionTM systemで分離した患者由来のADRCsと混合培養し、上清PSA値を比較検討したところ、48時間、96時間いずれの培養においても、前立腺癌細胞とADRCsとの混合培養により、前立腺癌細胞単独培養に比較してADRCs細胞比率依存的に上清PSAは減少する傾向が認められた。 ヌードマウスにLNCaPを単独、あるいはADRCsと混合して移植を行ったところ、単独群はヌードマウスの皮下に明らかな腫瘤を形成した。それに対して混合移植群は腫瘍サイズが小さく、壊死を伴う潰瘍形成を示した。移植28日後の腫瘍サイズの比較では、混合群は単独群と比較して、明らかに腫瘍サイズの減少を認め、ADRCsの前立腺癌に対する増殖抑制効果を認めた。以上より、ADRCsおよび脂肪由来幹細胞は前立腺癌細胞増殖促進作用を有せず、むしろ抑制する可能性が示唆された。
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