研究課題/領域番号 |
16K11047
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
重村 克巳 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00457102)
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研究分担者 |
大澤 佳代 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (50324942)
荒川 創一 神戸大学, 医学研究科, 客員教授 (70159490)
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 尿路感染症 / 薬剤耐性菌 / 迅速診断法 |
研究実績の概要 |
主に尿路感染症原因菌として関連施設などよりカルバペネム耐性並びに低感受性の大腸菌と緑膿菌ならびにアシネトバクターを中心に125株を収集した。 カルバペネマーゼとその関連の薬剤耐性菌として知られるExtended spectrum beta-lactamase: ESBL遺伝子の解析を行い、IMP-6型およびCTX-M-2型産生大腸菌ならびにIMP-6型およびCTX-M-15型の大腸菌が検出された。疫学検査としてのMultilocus sequence typing (MLST)解析によりこれらの株はSequence type (ST) 131であった。カルバペネム耐性緑膿菌ではmetallo-beta lactamase: MBL陽性株で、IMP-7型がその約半数を占め、次いでIMP-1型、IMP-34 型、VIM-1型という分布となった。 Acinetobacter baumanniiではImipenemに対して57.6% (38/66株)が耐性を示し、そのうち多剤耐性アシネトバクターと判定したのは28.8% (19/66株)であった。blaOXAを有する株は13.6% (9/66株)存在し、そのうちImipenem耐性を示す株は77.8% (7/9株)であった。 尿路感染症の迅速診断のため、Matrix Assisted Laser Desorption/Ionization Time of Flight Mass Spectrometry:MALDI-TOF-MS法を用い、細胞壁の構造の違いから同定に難渋していたグラム陽性菌にて処理法を改良して、論文発表を行った。大腸菌での疫学迅速診断のためMultiple-Locus Variable Number Tandem-Repeat Analysis: MLVA法の基礎実験を行い、本菌株での識別が可能なことを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度までは主に尿路感染症の薬剤耐性菌の検出、関連遺伝子の同定ならびに菌伝搬の形式診断のための疫学診断のためのMLSTの方の結果は出ていたが、その疫学迅速検査・診断法のMultiple-LocusVariable Number Tandem-Repeat Analysis: MLVA法に関して、あまり実験が進められていない状況であったが、平成29年度にその基礎実験に関してもおおむね進んできており、今後薬剤耐性株にての検討を進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
上述のごとく疫学迅速検査・診断法のMLVAにつき、これまで主に複雑性尿路感染症患者の尿から収集しているカルバペネム耐性大腸菌、緑膿菌、アシネトバクターについての解析を進めていく。また共同研究先のインドネシア株を以前より収集しておりそれら海外株と本邦株の比較も行うことでさらなる迅速診断ならびに疫学診断の意義もまた増していく、と考えられる。
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