研究実績の概要 |
平成28年度は、Cyclophosphamide(CYP)誘導膀胱炎ラットモデルを作製し、CYPにより誘発される膀胱過活動に対するrSNSR1 agonistの膀胱内注入の効果を検討した。雌Sprague-Dawley(SD)ラットを使用し、CYP誘発膀胱炎ラットはCYP 200mg/kgを腹腔内投与して作製した。CYP投与48時間後にウレタン麻酔下に連続膀胱内圧測定を施行。rSNSR1 agonistである、bovine adrenal medulla 8-22(BAM8-22)(300, 1000, 3000 nM)を膀胱内に持続注入し、薬剤投与前後で膀胱内圧測定の各パラメーターを測定し比較検討した。BAM8-22の膀胱内注入は、CYP誘発膀胱炎ラットモデルの排尿間隔および排尿閾値圧を容量依存的に増加させた。以上よりrSNSR1 agonistの膀胱内注入は、排尿反射を抑制し、CYPにより誘発される膀胱過活動を改善する可能性があると考えた。 しかし、次の段階である、rSNSR1 agonist封入膜融合性リポゾームの膀胱内注入の効果を確認していくためには、CYP誘導膀胱炎ラットモデルに対するrSNSR1 agonistの膀胱内注入の効果が最も得やすい投与量を十分に検討・評価しておくことが必要と考え、平成29年度は、膀胱内注入するBAM8-22の投与量を10, 30, 100, 300, 1000, 3000, 10000 nMとして、CYP投与48時間後にウレタン麻酔下に連続膀胱内圧測定を施行し、薬剤投与前後で膀胱内圧測定の各パラメーターを測定し比較検討した。その結果、10, 30, 100 nMでは、有意な膀胱内圧測定の各パラメーターの変化はみられず、3000 nMで最も効果が高い事が確認でき、今後の研究を進めていく上で、BAM8-22膀胱内注入投与量は、300, 1000, 3000 nMが適切であると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、ラット下部尿路機能障害におけるrSNSR1の役割を調べるため、CYP誘導膀胱炎ラットモデルを用いて実験を行った。平成28年度および平成29年度の研究により、CYP誘導膀胱炎ラットモデルに対してrSNSR1 agonistであるBAM8-22の膀胱内注入が排尿反射を抑制する可能性があることを解明した。また、BAM8-22の適切な投与量が本実験系においては、300, 1000, 3000 nMであることも解明することができた。そのため、おおむね順調に研究は進展していると考えている。
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