研究課題/領域番号 |
16K11053
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
本間 秀樹 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (20260789)
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研究分担者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40264733)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80551267)
田口 和己 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00595184)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 腎結石 / オステオポンチン / 重合 |
研究実績の概要 |
腎結石の発症頻度は急増し、再発予防法の確立は先進国において緊急課題である。腎結石は90%の無機物質と数%の有機物質(マトリックス)から構成されている。私たちは、マトリックス成分が結石形成に重要であると考え、有機物質の成分としてオステオポンチン(OPN)を同定し、結石形成の分子機構を解明してきた。そこで、OPNノックアウトマウスを作成し、OPNは腎結石の形成を促進することを証明した。さらに、OPN遺伝子組み換えマウスでは、OPNの機能接着部位と考えられるRGD配列が、結石形成に特に関わっていることを証明した。 本研究では初めに、RGD配列の隣にあって、切断型OPNにて露出されるアミノ酸配列に対する中和抗体を作成し、腎結石形成作用を検討した。抗体投与により、マウスの腎結晶は通常のマウス腎結石と比較して、内部が細かく、小さな結晶となることがわかった。電子顕微鏡による尿細管細胞の構造も、抗体投与にて、尿細管細胞障害が抑制され、結晶の形成も認められなかった。つまりOPN抗体で結石形成量や形態形成が抑制されることを証明した。 これらの成果を踏まえ、ヒトへの臨床応用に向けた研究が必須と考え るが、結石治療の効果判定のためのバイオマーカーがないことが、新しい創薬開発にむけての大 きな課題である。本研究では、結石モデルマウスにおいて、結石形成に関わるOPN蛋白の詳細な検討を行った。まずは結石形成させた腎におけるOPNのWestern blottingを行ったところ、OPNの複数のバンドが確認でき、蛋白が重合していることがわかった、今後は、ヒトの尿中、腎組織中における切断型・重 合型 OPN を定量化し、結石形成のバイオマーカーとなりえるか調べて行く予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
OPNの重合に特異的に反応するELISAの作成がやや遅れているため。今後は、他施設との共同研究において、ELISAの作成を積極的に行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
結石形成には、OPNの重合・切断を含めた修飾が重要な役割を果たしていることを認めた。今後は、OPNの重合に特異的に反応するELISA の構築を行い、マウスやヒトにおける反応を観察する。最終的には、結石形成のバイオマーカーになりえるかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
重合OPNを特異的に検出するELISAの構築が遅れ、実際にマウスやヒトにおいての研究がやや遅れたため、次年度は新たにマウスを購入し引き続き行っていく。
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