研究課題
本邦における腎結石の発症頻度は、この40年間で約3倍に増加し、5年再発率は約50%と報告ている。また、腎結石の90%を占めるシュウ酸カルシウム結石の再発予防法は、飲水指導と食事指導のみで有効な薬剤はない。私たちは、無機物質からのこれまでの治療に限界を感じ、有機物質としてオステオポンチン(OPN)を同定し、その分子機構を世界に先駆けて解明した。そこで、OPN遺伝子組み換えマウスを作成し、OPNは尿路結石の形成を促進することを証明し、つづいてOPN抗体によるマウス腎結石の抑制にも成功した。今後、ヒトへの臨床応用に向けた研究が必須と考えるが、結石治療の効果判定のためのバイオマーカーがないことが、新しい創薬開発にむけての大きな課題である。OPNは、酵素による切断や重合による翻訳後修飾を受けて活性を変化させる。そこで本研究では、今回尿路結石形成のためのバイオマーカーの探索を目的として、OPNの酵素による切断や重合について着目した。今回はじめはサルにおける検討を行おうとしたが、サル自体は草食動物であるため、ヒトと同様の尿路結石を作ることができなかった。そのため、尿中、血清中の重合OPNをELISAで定量化することのできるOPN抗体を広島大学インテグリン治療開発フロンティア研究室から供与いただき、実臨床において尿路結石患者、健常人の尿中重合OPNを定量化した。後ろ向きな研究として、尿路結石患者50名、健常人10名の尿中重合OPNを調べたところ、結石形成のリスクと尿中OPNには、相関関係を認めなかったが、健常人と尿路結石患者を比較すると、尿路結石患者の方が尿中重合OPNの量が多くなることがわかった。
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