研究課題/領域番号 |
16K11054
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
田口 和己 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (00595184)
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研究分担者 |
郡 健二郎 名古屋市立大学, その他部局等, 学長 (30122047)
安井 孝周 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40326153)
戸澤 啓一 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (40264733)
岡田 淳志 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (70444966)
濱本 周造 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (80551267)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | マクロファージ / マルチプレックス解析 |
研究実績の概要 |
【目的】尿路結石の形成に関わる尿中分子機構の解明のため、スポット尿を用いたプロテオソーム解析を行った。 【対象と方法】名古屋市立大学病院泌尿器科を通院中の尿路結石患者を対象に、検尿を採取し、そのうち活動性の膿尿・血尿を除外したサンプルを使用した。対照には同院泌尿器科を良性疾患(非尿路結石)にて通院される患者の尿を用いた。サンプルは希釈後、マルチプレックス解析(MAGPIX)を用い、ビーズによる抗原検出法にてマクロファージおよびサイトカイン関連タンパクを同定し、定量化し、各群間で比較を行った。 【結果】尿路結石患者は66名であり、うち初発群が24名、再発群が42名であった。また非結石患者は56名であった。マルチプレックス解析の結果、初発および再発を含む尿路結石患者群では、非結石患者群に比べ、M1マクロファージ関連タンパクであるGROα(CXCL1: chemokine (C-X-C motif) ligand 1)およびMCP-1(monocyte chemoattractant protein-1)の発現が高く、M2マクロファージ関連タンパクであるIL-4(interleukin 4)の発現が低いことが分かった。 【考察】これらの結果は前年度に行われた尿路結石患者の腎乳頭部石灰化部位周囲の粘膜に遺伝子発現のtranscriptome解析において、結石患者の粘膜ではM2マクロファージ関連遺伝子群の発現が低かったことと一致しており、M2マクロファージ発現が結石形成に関わることが、RNA・タンパクレベルで明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト尿路結石患者のオミックス解析に関しては、 transcriptome解析、proteome解析まで修了しており、概ね順調にすすんでいると考えられる。 遺伝子改変ショウジョウバエを使用した研究に関しては、実験モデルとしてシュウ酸カルシウム結石の作成が安定しないこと、研究協力施設であるUCSFでの手続き状の問題から、実験に至っておらず、進行に難渋している。 モデルマウスを使用したマクロファージ投与実験に関しては、諸処の事務手続きは完了しており、来年に向けて実行準備が完了している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続きヒト尿路結石患者のメタボローム解析、特に末梢血単球から分離されるマクロファージの実験をすすめていく。 ショウジョウバエに関しては、協力施設と連携しながら、実現にむけて事務手続きと preliminary実験を重ねていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬や動物を無駄なく発注した結果、当初予算より若干節約ができた。次年度(最終年度)使用額として、よりよい結果を残していきたい。 遺伝子改変ショウジョウバエを使用した研究を進めて行きたい。
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