研究課題
尿路結石は、疫学、形成機序、結石と石灰化の構成成分など、動脈硬化と類似点が多い。近年、酸素を直径100nm以下のガス核として、Salting-out現象により安定化させた機能水、酸素ナノバブル水の抗炎症効果が報告された。酸素ナノバブル水は、医療分野では、低酸素状態の腫瘍の低酸素誘導因子の発現を抑制し、放射線治療への抵抗性を抑えることや、炎症性サイト カイン(TNFα)刺激による血管内皮細胞からの接着分子(ICAM-1、VCAM-1)発現と、活性 化マクロファージの血管内皮細胞への接着を防ぐことにより、動脈硬化を抑制することが報告されている。そこで、私たちは、結石形成モデル動物を用いて、酸素ナノバブル水の、尿路結石形成抑制効果を調べた。酸素ナノバブル水は、結石形成モデルラットにおいて、尿中シュウ酸飽和度を変化させないが、尿細管細胞障害、酸化ストレスを低下させ、シュウ酸カルシウム結晶の接着因子であるオステオポンチンとヒアルロン酸の腎での発現を抑制し、腎結石形成を抑制することが示唆された。培養細胞での酸素ナノバブル水の細胞傷害抑制作用、crystal-cell-interactionへの影響の検討は、清潔下での酸素ナノバブル培養液での実験ができず、おこなえなかった。ヒトの結石抑制効果を調べるためには、指標となる血中、尿中のバイオマーカーが必要だが、確立ができていないため、ヒトへの投与はできなかった。臨床試験を行うための基礎的な研究が不足し、名古屋市立大学の大学院医学研究科倫理審査委員会の審査をうけることができなかった。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Urolithiasis
巻: 46(6) ページ: 515-522
10.1007/s00240-018-1040-3