研究課題
淋菌感染症における近年の最大の懸念事項は、淋菌の多剤耐性化が進みその治療を困難にしていることである.これら多剤耐性化傾向にある株と感受性株が宿主細胞に与える影響の差異については情報も乏しく、これらの株に着目し比較検討を行うことは、本研究の目的に一致している.近年分離される淋菌株のアジスロマイシン (AZM)に対する耐性化が顕著であることが国内外で報告されている.本研究において、当初解析を計画した株 (2010-2012年分離の株)の中に、AZM耐性株は含まれてなかった. そのため、近年、国内で分離された株の系統解析を行うことで、AZM耐性株の中に優先株が存在するのか確認を行った. その結果、2015年国内分離株 (n=205)はMLST1901 (17.1%)、MLST7363 (15.6%)、MLST1579( 12.7%)に属する株で45.4%を占めることが分かった. この中で、AZM耐性を示した23株のMLST型はMLST1579 の14 株(61%)、MLST1901 の6 株(26%)となり、この2系統に属する株で20株(87%)となった. 更にこれの株の多くは多剤耐性の傾向を示すことが明らかとなった.
3: やや遅れている
近年分離される菌株の系統と薬剤感受性の相関を再確認する必要が生じ、改めて菌株の系統解析を行った為.
当初計画した淋菌株MLST1901、MLST7363、MLST7819、MLST7359に加え、MLST1579の合計5系統の株を解析することで、近年分離された薬剤感受性傾向の異なる株間での、宿主に与える影響の検討を可能とし、これらの菌株を使用して培養細胞を用いた淋菌の接着性及び定着性、菌株間のLOS (lipooligosaccharide)の発現の多様性の検討を行う.
(理由) 年度末納品等にかかる支払いが平成30年4月1日以降となったため、当該支出分については次年度の実支出額に計上予定。平成29年度分についてはほぼ使用済みである。(使用計画)上記のとおり。
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